新治製菓舗「鬼饅頭」

「むかし丹波大江山 鬼ども多くこもりいて」
福知山市の北郊、大江の里は「酒呑童子」伝説がいまも息づいている。「鬼」を村おこしのテーマにしており、祭りにも公共施設にも産品にも「鬼」を冠したネーミングが多い。
鬼饅頭」は、さしずめその代表格。1個480gといってもピンとこないが、ソフトボール大といえばその大きさが分かるだろう(写真1)。しかも数mmの薄皮の中に、つぶあんがぎっしり、ずっしりと詰まっている(写真2)。
30数年前、赴任先の福知山駅まで迎えに来てくれた先輩が、車で真っ先に案内してくれたのは職場でも仕事先でもない。大江山のふもとにある、この「新治製菓舗」だった。
カロリーが何だ、血糖値が何だ。甘党たる者、ビビっていてはいけない。先輩は、その場でまんじゅうを半分に割り「おいしいで。どうや」と勧めてくれた。左党の当方がためらっていると「甘いの、苦手か」と笑いながら、目の前でパクパクと残りを平らげてしまった。
以来、自分では食べないが、近辺に来ると甘党へのみやげに買って帰る。今回、恐る恐る小片を口に入れてみた。思いのほか、くどい甘さはなく、上質な小豆の味を感じた。それでも半分の半分の半分も食べられそうにないなあ−と思いつつ、あの先輩の顔が浮かんだ。
580円。福知山市大江町蓼原。

★★★★★(この迫力、赤鬼も真っ青?)