のび太首相の訪中

中国を訪問中の福田康夫首相の評判が良いらしい。
温家宝首相との会談後、異例の首脳共同会見まで実現した。福田首相が「アジアと世界の未来の創造へ共に協力したい」と唱えれば、温首相は「中日関係に春が来た」と応じた。
就任前から靖国神社不参拝を明言し、アジア外交重視を掲げる福田首相は、靖国参拝を堅持した小泉元首相や憲法改正に積極的だった安倍前首相に比べ、中国では「温和派」と映っているようだ。
中国側にも来年の北京五輪成功へ向け、近隣諸国との友好を内外にアピールしたい思惑もあろう。北京大学で行われた福田首相の講演は、テレビで中国全土に生中継されたという。
この雪解けムードについて、面白い見方がある。人気漫画の中国版『ドラえもん』の主人公のび太は「野比康夫」とされ、福田首相と同じ名前。眼鏡をかけて、とぼけた風ぼうも似ていることから漫画世代の中国の若者から親近感を持たれているというのだ。
共同通信の中国通が局内報で紹介していた話だ。中国のインターネット上では「愛すべき康夫(のび太)」などと福田首相について好意的な書き込みが多いそうだ。
漫画ののび太ジャイアンスネ夫にいじめられると、ドラえもんが「不思議なポッケ」で助けてくれる。現実の康夫首相にそんな便利な道具はない。しかし今回の訪中で、来年を「日中青少年友好交流年」とし、さまざまなレベルで地道な相互訪問を重ねることが決まった。
時代は人がつくる。頼もしいドラえもんが両国で増えるきっかけになればと思う。