コラム

励まし、励まされ

年の瀬も押し詰まってから、身の回りでさびしい知らせが2件相次いだ。 1件は、33年間やってきたラーメン店の閉鎖。「きょう限りで店をたたむらしい」と知人からメールが入った。寝耳に水。夜11時すぎ、その知人と一緒に店へ駆けつけた。 店内のカウン…

のび太首相の訪中

中国を訪問中の福田康夫首相の評判が良いらしい。 温家宝首相との会談後、異例の首脳共同会見まで実現した。福田首相が「アジアと世界の未来の創造へ共に協力したい」と唱えれば、温首相は「中日関係に春が来た」と応じた。 就任前から靖国神社不参拝を明言…

年賀状

年賀状を書く時期になってきた。郵便局の窓口で受け付けが始まり、ポストには専用の投函口も設けられている。テレビコマーシャルで「元日配達にはなるべく25日までに」などと流されると、よけいに気ぜわしくなる。 先日の新聞に、電子メールによる年賀状の…

薬物ショック

「アメリカがくしゃみすれば、日本は風邪をひく」。政治、経済だけではない。どうやらスポーツの世界にも当てはまるようだ。 米大リーグが発表したドーピング実態調査報告書に、日本のプロ野球関係者9人の名前が含まれているという。阪神・ウィリアムス、前…

義士まつり

「松の廊下」での刃傷事件を国元へ急報した早かごの足跡をたどって、落語家の三遊亭楽松さん(43歳)が東京から12日かけて走破、きのう無事赤穂にゴールインしたそうだ。 東京−赤穂約650km。元禄の早かごはそれを昼夜兼行で4日半で走ったという。普…

カンジ悪い漢字

今年の世相を表す漢字に「偽」が選ばれた。清水の舞台で恒例の大筆をふるった森清範貫主は「こういう字が選ばれるのは日本人として誠に恥ずかしく、悲憤にたえない」と慨嘆した。 1年を象徴する漢字だ。もっと明るく、よい字はなかったか。そうは思うが、2…

取材はタダか

先週、九州・天草で行われた大相撲冬巡業で、報道各社が勧進元から1社当たり1万円の「入場料」を要求され、19社が金を払って取材した、との記事が新聞に載っていた。 報道目的の「取材」に金が要るのか、払うべきなのか。各社は異例の申し入れに戸惑い、…

私のしごと館

えーっ、オープン4年で、もう閉鎖? そんじょそこらのラーメン店ではない。関西文化学術研究都市の一角を占める巨大施設「私のしごと館」(京都府精華町、木津川市)の話だ。 独立行政法人の見直し・整理統合を進める渡辺喜美行革相が、所管の厚労省との話…

「いけず」言わずに

祇園の有名料亭「一力」のある花見小路四条界わいは、夕方ともなるとアマチュア写真愛好家が通りの両側にずらりとカメラの放列を敷く。だらりの帯にこっぽりで石畳を歩いてお座敷に向かう舞妓さんの「出勤」風景を撮るのが目的だ。 最近は、わざわざこれを目…

もっと選択肢を

来年2月に行われる京都市長選の構図が固まってきた。すでに弁護士の中村和雄氏(53歳)が共産の推薦を受けて立候補を表明、これに対して民主が立候補を要請している市教育長の門川大作氏(57歳)に自民、公明が「相乗り」する動きを見せているという。 …

名札のない病室

友人が、入院中の知り合いの見舞いに行ったときのこと。エレベーターで当該フロアまで上がったのはよいが、病室が分からない。入り口の名札を頼りに部屋を探したが、目当ての名前は見つからなかったそうだ。 診察中や検査で患者がベッドを離れている時もある…

ミシュランが何だ

15年近く前。週1回、夕刊で「ラーメン探検」と称して京都のラーメン店巡りを連載したことがある。ご当地ラーメンブームのはしりで東京のテレビ局や雑誌が「京都ラーメン」を取り上げ始めたころだ。 大きなカメラやライトを担いだ取材クルーが大挙して店に…

広告2題

きのうの日経新聞で、2つの全面広告が目を引いた。 1つは、石屋製菓の「白い恋人」販売再開(写真1)。「約束します。こころ、むすぶ、お菓子へ」をキャッチフレーズに▽入念な製品検査、原料検査と品質管理の徹底▽衛生管理マニュアルによる厳重チェック▽…

人間ドック

ことしも1泊2日で人間ドックへ行ってきた。 「人間ドックは税金だと思え」との雑誌広告を見て「そうだ」と自分に言い聞かせて受診した。年に1度の定期点検。経費は会社の健保組合に2000円を払うだけだが、あちこちガタの来ている身、課された「義務」…

わが子の責任

親は、いつまでわが子の責任を負わねばならないのだろう。息子が覚せい剤所持で逮捕された女優・三田佳子さんの「謝罪」会見の様子をテレビで見ていて、そう思った。 彼女の二男は27歳。覚せい剤による逮捕は、少年時代も含めて3度目だ。会見では、当然の…

ちゃんとする

残酷な光景だった。きのうの東京国際女子マラソン。月桂冠をかぶった野口みずき選手が喜びの優勝インタビューを終え、笑顔を振りまいている画面の後方に、トボトボと今にも止まりそうな足取りでゴールに向かう渋井陽子選手の姿が重なった。 アテネ五輪、大阪…

責任転嫁

船場吉兆(大阪市)の商品表示偽装を報じるテレビニュースで、勤め先近くのとり料理店(京都市中京区)が大写しになり、驚いた。よく行く同僚の話では、とろとろの溶き卵のかかった「からあげ丼」が名物だそうで、確かに昼時にはいつも店の前に行列ができて…

「神様」逝去

かつて稲尾和久さんと隣り合わせたことがある。もう30年以上前、西京極球場の記者室。こちらは駆け出しの運動記者だった。 自社の席につくと、隣に柄の大きな中年男性が座っている。チラッと顔を見た。ン? どっかで見たことあるぞ。なんと「神様、仏様、…

天皇の反省

外来魚のブルーギルは、ブラックバスと並ぶ琵琶湖の敵役だ。雑食性で繁殖力が強く、湖の生態系を破壊した元凶とされる。わが愛するフナズシをピンチに追いやったのも、彼らの旺盛な食欲のせいらしい。 そんな魚を日本に初めて持ち込んだのが、いまの天皇だと…

ずっこけ竜馬

嵐の大海原で、木の葉舟のように揺れる帆船。かじを握る小沢代表が甲板に吹き飛ばされる。ロープを操っていた菅、鳩山両氏がすばやく小沢代表を抱き起こし、3人で支え合う。やがて風雨がおさまり、タイトルが浮かぶ。「生活維新」−。 夏の参院選前に民主党…

ボウリング大会

朝起きたら、首が痛い。首だけではない。肩、腕、腰、ひざ、尻…みんなアイタッ、ター。 ゆうべの社内ボウリング大会の後遺症だ。ふだん歩くのは社内と、昼食時に会社の周辺をぶらつくぐらい。歩数にすれば1日3000歩も歩いているかどうか。そのツケだ。 …

ソーセージ純粋令

ドイツ東部のワイマールで、おもしろい古文書が見つかったらしい。ソーセージの厳格な製法を定めた最古の法令で、15世紀のものだという。 新聞記事によると、制定したのは地元の食肉組合。ソーセージの「王様」とされる「テューリンゲン・ソーセージ」につ…

復活した優先席

ビジネスの世界で、よく「時代の半歩先を行け」と言われる。商機をつかむには、時流に敏感でなければならない。「時代遅れ」は論外だ。かと言って、1歩も2歩も先へ進みすぎては、みんながついて来れない。「半歩」の間合いが肝要、ということらしい。 8年…

証人喚問

「事実は小説より奇なり」という言葉がある。数多くの事件を取材していると、時に思わぬ展開に驚かされることがある。「まるで小説の世界だ」「こんなことって、本当にあるのか」と想像を超える事態に戸惑いさえ覚える。 少し意味合いは異なるが、きのう衆院…

笑顔検出カメラ

みんながかしこまって写真機の前に並ぶ。写真屋さんが大きな声で「写しますよ。ハイ、チーズ!」。そのとき、どこにまぎれていたのか寅さんが「ハイ、バター」。一同、思わず噴き出して大爆笑。映画『男はつらいよ』に、確かそんなシーンがあった。 自然な笑…

「やっぱり」と「まさか」

金大中氏拉致事件の再調査報告書が、きのう韓国の政府機関から発表された。目をむくような新事実はなく、これまで日本の捜査当局がおよそ描いてきた構図の範囲内だとされる。 事件は、やっぱり韓国中央情報部(KCIA)による組織的で計画的な犯行だった。…

「室町」の復権

小さいときから歴史が好きだった。小学4年生のころ、林間学校で吉野へ行ってからは南朝の忠臣楠木正成、正行父子の「ファン」になった。その分、敵の足利尊氏が憎く思えて仕方なかった。「花の御所」跡の近くで育ちながら、室町幕府には親しみが持てなかっ…

忘己利他

きのうに続いて、新聞大会での話をもうひとつ。天台座主、半田孝淳さんが記念講演「宗教者からみた世界平和」の中で紹介した古今の宗教者二人の言葉が印象に残った。 ひとつは、伝教大師(最澄)の「忘己利他」(もうこりた)。「己を忘れて他を利するは慈悲…

言葉のタネ

作詞家の阿木燿子(あき・ようこ)さんの話を聴く機会があった。先日、長野市であった新聞大会での1コマ、地元生まれの阿木さんが昼食会のゲストスピーカーに招かれた=写真。 聴衆は全国の新聞社幹部約550人。平均57、8歳、ほぼ全員が男性だ。冒頭、…

「ええじゃないか」では済まぬ

JR京都駅の売店で一番よく売れる土産物は、なーんだ? もう20年ほど前になるが、調べたことがある。生八つ橋? 京漬物? ブー、ブーッ。正解は、赤福餅(あかふくもち)。なんと伊勢の名物が、観光京都の玄関口でナンバーワンの人気を占めていた。 「赤…