コラム

木簡の誓い

滋賀県西浅井町で、おもしろい木簡が見つかったらしい。「私は絶対盗みをしません」。平安時代の運送業者が神社に納めた誓いの文書だという。 琵琶湖最北端の「塩津港遺跡」で、神社の堀跡から55本の木簡が出土した。うち文字が読み取れたのは5本。どれも…

あきれた「ずる休み」

親族が死んだと偽って「ずる休み」−冗談や漫画の世界の話だと思っていたら、本当にそんなことをしている公務員がいた。それも1人や2人ではない。5年間で43人もの京都市職員がこんな不正で忌引休暇を取っていたというのだから、あきれてしまった。 49…

メディアスクラム

社会的に関心の高い事件や事故の現場に記者が殺到、大勢で関係者に強圧的な取材をする行為を「メディアスクラム」と呼ぶ。「集団的過熱取材」などと訳され、日本新聞協会などでは人権侵害の恐れがあるとして、その自粛と取材の適正化を申し合わせている。 連…

フードマイレージ

「フードマイレージ」という言葉を、先日読んだ『ウナギ』(井田徹治著)で初めて知った。食べ物を産地から運んでくる際に排出する二酸化炭素の量を数値化し、グローバル化時代の「食」が環境に与える影響を考えようという試みだ。 数字は、輸送距離(km)に…

メディアの冒険

10月に入り、全国紙が相次いで従来の殻を破って、新しい模索を始めた。 ひとつは、産経新聞がマイクロソフト社と提携して開いたニュースサイト「MSN産経ニュース」。取材した情報は新聞の締め切り時間を待たず、ネットへ優先的に流す「ウェブ・ファース…

記者の死

「原稿より健康」。新聞記者の世界で、よく言われる言葉だ。いくら良い記事を書こうと、自分の健康を損ねては何にもならない。仕事も大切だが、わが身も大事。命あっての物種、というわけだ。 記者も人の子。当たり前の理屈だが、これが極限の状況になると難…

御三家のピンチ

現代用語事典の御三家が、存廃のふちに立っているらしい。「イミダス」(集英社)、「知恵蔵」(朝日新聞社)、「現代用語の基礎知識」(自由国民社)で、軒並み発行部数がピーク時の20%以下に落ち込んでいるそうだ。 これまで通りに08年版の発行が決ま…

入力ミス

先日、定食チェーン「宮本むなし」を取り上げた際、本文の中でうっかり「日本一のご版屋さん」と記してしまった。「飯(の字)を使わないところがギャグ。どこまでも、お笑いのノリの定食屋さんですね」とのコメントをいただき、初めて入力ミスに気がついた…

手を合わす

毎週通う鍼灸院で。隣の診療台から先生の声が聞こえる。「手を合わしてごらん。はーい、合掌」。運動障害のある女児がリハビリを受けている。そばのお母さんに先生が言う。「手を合わせるのは脳の発達にいいんですよ」。合掌は、東洋医学で説く「気功」の基…

KY理事長

自分の都合でしか物事を判断できず、大局がとらえられない人のことを、はやり言葉で「KY」と言うそうだ。「空気が読めない」の略。だれが言い出したのか知らないが、テレビ番組などで不祥事に鈍感な政治家や企業人らに対してよく使われている。 その語法に…

首相辞意

ふつう「職を賭して取り組む」と言えば「職を賭すほどの強い決意でやる」という意味だ。後段の「取り組む」に力点があるのは言うまでもない。ところが、安倍晋三首相は「取り組む」前に「職を賭」してしまった。 昼過ぎ、食堂のテレビに「首相辞意」の速報が…

愛機入院

形あるものは、みな壊れる。生き物には寿命、モノにも耐用年数という限りがある。 先週末、自宅のパソコンが起動しなくなった。思えば1カ月前ぐらいから「兆候」があった。電源を入れると「Warning」(警告)と書かれた英文の画面が現れ、ソフトウエアのバ…

心得違い

北京駐在のベトナム大使が中国外務省から2度にわたって呼び出され、ベトナムメディアの中国報道について抗議された、との記事が先日の新聞に出ていた。 問題にされたのは、ベトナム国営テレビや新聞が一連の中国産品の粗悪問題を取り上げ「消費者は低品質の…

財布紛失

「財布がない!」。気づいたのは帰宅後、着替えしている時だった。 ゆうべ10時半ごろ、祇園からタクシーに乗って自宅前まで。料金の千数百円を払おうとして、かばんから財布を出して中身を見たら、千円札が1枚。あとは5千円札1枚と1万円札が3枚。おつ…

五日天下

明智光秀が本能寺に織田信長を急襲したのは1582(天正10)年6月2日未明。羽柴秀吉との山崎の合戦に敗れ、小栗栖であえない最期を遂げたのが13日夜。世に言われる「光秀の三日天下」だが、正味は12日間あった。 鳴り物入りで発足した安倍改造内閣…

世界陸上

朝起きてきて、テレビのスイッチを入れたら、女子マラソンの最中だった。30kmを過ぎたあたりで、先頭集団に日本人選手が2人入っていた。世界陸上大阪大会の最終日。ここまで日本はメダル0。ついつい画面に引き込まれた。 この大会、当初からしらけて、あ…

宇治茶のコラボ

ペットボトルの世界で、伝統の宇治茶ブランドが注目を集めている。 辻利一本店(宇治市)が、日本たばこ産業との共同開発(コラボレーション)で今月3日から緑茶飲料「辻利」を発売するらしい。1860(万延元)年、初代辻利右衛門がおこした老舗で、「辻…

執念のまなざし

「愛車」と言っても、大津市在住の米国人画家ブライアン・ウイリアムズさんの車はただのマイカーではない。電線工事などで使われる、長い鉄製アームの先にカゴの付いた「高所作業車」だ。 ブライアンさんが「愛車」に乗り始めたのは昨年秋。わざわざ高所作業…

がけっぷち

「お友達内閣」「ばんそうこう内閣」とたたかれた安倍内閣が、きのう衣替えした。新聞やテレビでは「重厚」「実務型」「仕事師内閣」などといった評価の一方、参院選惨敗で後がない「がけっぷち内閣」と冷ややかな見方もされている。 新閣僚の顔ぶれを見ると…

裕次郎ホーム

JR小樽駅に「裕次郎ホーム」がある。ガイドブックに、そう書いてあったので、それはぜひ行かねばと思った。 札幌からの快速電車を降りて、ホームに立つ。「おたる〜、おたる〜」。駅員のマイクにまじって、なにやら音が聞こえてくる。「ん?」。耳を澄ませば…

「白い恋人」の裏切り

また北海道か。十把ひとからげに言うつもりはないが、菓子「白い恋人」の表示改ざんのニュースを見て、そう思った。 雪印食品、ミートホープ…どちらも市場からの退場を余儀なくされた。あれほど大きく取り上げられ、そのたびに当事者から反省や謝罪の弁が繰…

たびたびの旅

札幌と小樽へ2泊3日で行ってきた。札幌は6度目、小樽は4度目になる。 若いころは札幌ラーメンの食べ歩きに奔走、有名店をたずねて昼、夜、夜食と回ったこともある。 子どもが小さかったころはレンタカーで温泉や熊牧場、展望台などへ。リゾートホテルで…

大文字の見物マナー

かかりつけの治療院待合室で。男性の患者と受付係の女性の話が弾んでいる。 「大文字見物のおすすめスポット、ありませんか」と女性。男性は地元の住民らしい。「そら、船岡山やな。左大文字が目の前。パチパチ木の焼ける音はするわ、火の粉が飛んでくるわ、…

HEIAN

かつて京都の高校球児にとって「HEIAN」のユニホームは、ある種のあこがれを感じさせたものだ。白地に紺色の極太ゴシック。伝統校らしく、シンプルでかつ力感のあるデザインだった。 そのユニホームが、いまOBやオールドファンをやきもきさせている。…

追悼、阿久悠

物書きの端くれとして、作詞家阿久悠はずっと気になる存在だった。 「骨のある言葉」。阿久悠の詞には、そんな印象が強い。ごつごつとして、つるりとは飲み込めない。バリバリと音を立ててかみ砕く中からじんわりとした味がしみ出てくる。その味はかむ人によ…

ばんそうこう内閣

「ばんそうこう内閣、ではなくなりましたね」。赤城徳彦農相更迭のニュースを聞いて、同僚がこうもらした。 だれが名付けたのか、「ばんそうこう内閣」とはよく言ったものだ。先の参院選で「歴史的大敗」という深手を負いながら、なお続投で切り抜けようとす…

枚方市長逮捕

枚方市の中司宏市長(51歳)が大阪地検特捜部に逮捕された。市の清掃工場建設をめぐる談合の疑いが持たれている。 中司市長とは旧知の仲だ。彼が早稲田大を卒業して、京都で新聞記者としてスタートを切ったころだから、もう30年近く前になる。 端正な顔…

トップ選手の世間知らず

けさの新聞に2人の運動選手のニュースが載った。どちらも本来のスポーツ面ではない。三面記事だ。 ひとりは、男子フィギュアスケートの織田信成選手。飲酒運転で警察に検挙されたという。関西大3年の20歳。大阪市内のサウナ施設で大学の学生センター教授…

水増し合格者

よくもこんなことを考えつくものだ。大阪の私立高校が成績の良い生徒に多数の大学受験をしてもらい、合格者数の水増しをしていたという。その後の調べで、同種の「水増し」は他の大阪、兵庫の高校でも発覚、騒ぎは拡大する勢いを見せている。 発端になった大…

お祭り料金

きのうの昼下がり。いつもの定食屋に入り、品書きを見て驚いた。「本日、祇園祭につき、特別メニュー」の張り紙。そう言えば、祭りのハイライト、山鉾巡行の日だ。 「鯖煮付け、京風たき合わせ、春雨酢の物、ごはん、海鮮みそ汁、きゅうりからし漬け」の6品…