水増し合格者

よくもこんなことを考えつくものだ。大阪の私立高校が成績の良い生徒に多数の大学受験をしてもらい、合格者数の水増しをしていたという。その後の調べで、同種の「水増し」は他の大阪、兵庫の高校でも発覚、騒ぎは拡大する勢いを見せている。
発端になった大阪の高校では、昨春、1人の男子生徒に「関関同立」4大学の受験を依頼、生徒は出願した4大学の延べ73学部・学科すべてに合格したという。高校側は受験料約140万円を負担し、生徒に5万円の謝礼と腕時計を贈っていたそうだ。
高校は4大学の合格者を「144人」と発表していたが、半数以上がこの生徒1人によるもので、実数は33人だった。「水増しと言われても仕方ない。行き過ぎがあった」との校長談話が恥ずかしい。
これまでから一部の予備校などでこの種のことが行われているとは聞いたことがある。合格者数を競う塾や予備校ならまだ分かるが、いやしくも教育理念を掲げる高校だ。ここまで本音むき出しにやられると、もはや笑うしかない。
背景には、大学入試センター試験の結果だけで合否が決まる制度がある。入試問題作成の手間をかけず、ぬくぬくと受験料だけを稼いでいる大学側にも問題なしとしない。さらには、有名大学の合格者数だけで高校の良しあしを見がちな受験生、保護者、社会、その「ランキング」を売り物にする週刊誌…問題の根は広く、深い。