励まし、励まされ

年の瀬も押し詰まってから、身の回りでさびしい知らせが2件相次いだ。 1件は、33年間やってきたラーメン店の閉鎖。「きょう限りで店をたたむらしい」と知人からメールが入った。寝耳に水。夜11時すぎ、その知人と一緒に店へ駆けつけた。 店内のカウン…

新治製菓舗「鬼饅頭」

「むかし丹波の大江山 鬼ども多くこもりいて」 福知山市の北郊、大江の里は「酒呑童子」伝説がいまも息づいている。「鬼」を村おこしのテーマにしており、祭りにも公共施設にも産品にも「鬼」を冠したネーミングが多い。 「鬼饅頭」は、さしずめその代表格。…

のび太首相の訪中

中国を訪問中の福田康夫首相の評判が良いらしい。 温家宝首相との会談後、異例の首脳共同会見まで実現した。福田首相が「アジアと世界の未来の創造へ共に協力したい」と唱えれば、温首相は「中日関係に春が来た」と応じた。 就任前から靖国神社不参拝を明言…

福知山温泉「養老の湯」

玄関上がり口の張り紙を見て、驚いた。月刊旅行雑誌の全国温泉ランキング。第1位はかの有名な草津温泉(群馬)。それに次ぐ第2位に、なんと「福知山温泉」の名が入っているではないか。ちなみに第3位は、これまた名高い白骨温泉(長野)。 失礼ながら、京…

かき末「かき定食」

久しぶりに「かき末」ののれんをくぐった。初任地、先輩とよく行ったものだ。あれから30数年、冬場になるとここのカキが恋しくなる。唐破風を備えた格調ある店構え(写真1)も味も、そのころと変わらない。 創業は1926(大正15)年。内陸の福知山に…

さがの温泉「天山の湯」

嵐山、嵯峨野、太秦と観光名所に近い日帰り温泉。2年前にできたばかりだ。 後発だけあって、施設は充実している。三条通に面した外観は、日本旅館を思わせる雰囲気。2階にあるフロントまでのアプローチも料亭のような上質感がある。 地下1200mからくみ…

蟻月「白のもつ鍋」

20年ほど前になろうか。博多名物「もつなべ」が全国的にはやったことがある。京都でもあちこちに店ができたが、1年もたたないうちに多くは姿を消した。 原因はいろいろ考えられるが、なべ好きのおじさん世代には味が濃厚すぎたのではないか。いまも「もつ…

光の街・桂坂

クリスマスイブのイブ、うわさの桂坂(京都市西京区)へ車で出かけた。 桂坂と言えば、洛西の丘陵地に広がる高級住宅街。この時期、家々が玄関や外壁にカラフルなクリスマス・イルミネーションを競うように施し、評判になっている。 国道9号沓掛口から住宅…

岡山雄神「あたご梨」

岡山は「フルーツ王国」を自称している。白桃、マスカット、ピオーネ…。ネットには「フルーツ王国岡山検定」なるものまである。 「あたご梨」も王国特産のひとつ。戦時中の1943(昭和18)年、県内に導入され、いまでは岡山市西大寺の雄神・西隆寺地区…

日清「中央軒長崎ちゃんぽん」

「中央軒」は大阪・難波に本拠を置く長崎ちゃんぽんのチェーン店。大阪を中心に20店舗を展開する。 長崎名物のちゃんぽん、皿うどんは明治時代に長崎・四海楼の陳平順が考案、母国からの留学生らに食べさせたのが発祥とされる。中央軒はそれを40数年前に…

「となりのクレーマー」

その1。百貨店のブランドショップ。革かばんの内側が色落ちして、書類が汚れて困る。「よくあるんですよね、色移り」との女性店員の応対にキレた。「物入れへんかばんて、あるのか!」。大声を出したら、上司らしき男性がすっ飛んできて、立派な別室に招き…

年賀状

年賀状を書く時期になってきた。郵便局の窓口で受け付けが始まり、ポストには専用の投函口も設けられている。テレビコマーシャルで「元日配達にはなるべく25日までに」などと流されると、よけいに気ぜわしくなる。 先日の新聞に、電子メールによる年賀状の…

広島お好み焼き「大野/長久」

広島へ日帰り出張。となれば当然、昼はお好み焼きだ。 地元紙の専門サイト「炎の鉄板」を立ち上げた仕掛け人Tさんにあらかじめ電話で取材、取っておきの情報を仕入れておいた。 教えてもらった4軒の中から、さてどこへ行くか。ここがよさそう、いやここも……

日清「ミルクシーフードヌードル」

先月発売されたばかりの新製品。食べる前はさして期待していなかった。車で言えばマイナーチェンジ、フロントグリルや内装の一部を変えただけ−レギュラー版と変わりばえのしないパッケージの地味なデザインも手伝って、そんな先入観があった(写真1)。 ひ…

日清「レンジどん兵衛 カレーうどん」

新シリーズ「NEXT GENERATION」の「どん兵衛」カレー版(写真1)。このシリーズは熱湯を使わず、容器に水を入れて電子レンジで「チン」するのが特徴だ。 中身は、生めんと液体スープ、粉末スープ、かやくに分かれている。全部一緒に容器内にあけ、所定の線…

薬物ショック

「アメリカがくしゃみすれば、日本は風邪をひく」。政治、経済だけではない。どうやらスポーツの世界にも当てはまるようだ。 米大リーグが発表したドーピング実態調査報告書に、日本のプロ野球関係者9人の名前が含まれているという。阪神・ウィリアムス、前…

義士まつり

「松の廊下」での刃傷事件を国元へ急報した早かごの足跡をたどって、落語家の三遊亭楽松さん(43歳)が東京から12日かけて走破、きのう無事赤穂にゴールインしたそうだ。 東京−赤穂約650km。元禄の早かごはそれを昼夜兼行で4日半で走ったという。普…

カンジ悪い漢字

今年の世相を表す漢字に「偽」が選ばれた。清水の舞台で恒例の大筆をふるった森清範貫主は「こういう字が選ばれるのは日本人として誠に恥ずかしく、悲憤にたえない」と慨嘆した。 1年を象徴する漢字だ。もっと明るく、よい字はなかったか。そうは思うが、2…

取材はタダか

先週、九州・天草で行われた大相撲冬巡業で、報道各社が勧進元から1社当たり1万円の「入場料」を要求され、19社が金を払って取材した、との記事が新聞に載っていた。 報道目的の「取材」に金が要るのか、払うべきなのか。各社は異例の申し入れに戸惑い、…

いいちょ「ラーメン」

ひところ行列のできる新興店とはやされたが、いまや押しも押されぬ中堅どころ(写真1)。店内にも落ち着きができてきた。 創業は1998年。「背脂系こってりしょうゆ味」に分類されるオーソドックスな京都ラーメンだ。 めんは中細のストレート。具は、チ…

「憎まれ役」

元自民党幹事長、野中広務氏(82歳)とプロ野球監督、野村克也氏(72歳)の「対談」というより「対論」集だ。帯に「はい上がった男の格差社会憂国論」とある。 政界と球界、場こそ違うがともに百戦錬磨、知謀策略を尽くして宿敵と渡り合ってきたご仁だ。…

すし乃池「穴子すし」

関西人からすれば、ちょっとディープ、いやかなりディープ、いやいやとってもディープな江戸前のすし屋へ行ってきた。谷中(やなか)。関東大震災や戦災での被害が少なく、昔ながらの風情が残る下町だ。 てっきり「寿司の池」だと思っていたら、ご主人が野池…

松本楼「ハイカラビーフカレー」

東京・日比谷公園の真ん中にある松本楼は、1903(明治36)年の創業。日本の洋式公園第1号とされる同公園とともに100年を超す歴史を刻んできた(写真1)。 当時は、西洋文化の香り漂う公園内を散策して松本楼でカレーライスを食べ、コーヒーを飲む…

私のしごと館

えーっ、オープン4年で、もう閉鎖? そんじょそこらのラーメン店ではない。関西文化学術研究都市の一角を占める巨大施設「私のしごと館」(京都府精華町、木津川市)の話だ。 独立行政法人の見直し・整理統合を進める渡辺喜美行革相が、所管の厚労省との話…

祖父江ぎんなん

近所のすし店「味工房 うえ川」で、つきだしに「炙(あぶ)りぎんなん」が出てきた。 柿の赤い葉を下敷きに、目をむくような大粒のぎんなんがゴロゴロ。白い殻があぶられて真っ黒、はじけて中から青い実がのぞいているものもある。 大将に産地を聞いたら、愛…

日清「昭和のカレーヌードル」

映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」に特別協賛しているセブン‐イレブンが日清食品とのコラボレーションで作り上げたカップヌードル(写真1)。 映画の時代設定になっている1960年代、カレーと言えば家や学校の給食で食べるカレーが定番だった。その味を出…

マツバガニ

丹後・宮津の友人が、冬の味覚・マツバガニを送ってきてくれた。 腕に巻かれた青いタグは地物のあかし。水揚げした浜坂港(兵庫)と漁船名が刻まれていた。 浜坂漁港は、マツバガニの水揚げ日本一を誇る本場。先月に漁が解禁されたばかりで、もちろん「初物…

「いけず」言わずに

祇園の有名料亭「一力」のある花見小路四条界わいは、夕方ともなるとアマチュア写真愛好家が通りの両側にずらりとカメラの放列を敷く。だらりの帯にこっぽりで石畳を歩いてお座敷に向かう舞妓さんの「出勤」風景を撮るのが目的だ。 最近は、わざわざこれを目…

もっと選択肢を

来年2月に行われる京都市長選の構図が固まってきた。すでに弁護士の中村和雄氏(53歳)が共産の推薦を受けて立候補を表明、これに対して民主が立候補を要請している市教育長の門川大作氏(57歳)に自民、公明が「相乗り」する動きを見せているという。 …

名札のない病室

友人が、入院中の知り合いの見舞いに行ったときのこと。エレベーターで当該フロアまで上がったのはよいが、病室が分からない。入り口の名札を頼りに部屋を探したが、目当ての名前は見つからなかったそうだ。 診察中や検査で患者がベッドを離れている時もある…