ほん

「となりのクレーマー」

その1。百貨店のブランドショップ。革かばんの内側が色落ちして、書類が汚れて困る。「よくあるんですよね、色移り」との女性店員の応対にキレた。「物入れへんかばんて、あるのか!」。大声を出したら、上司らしき男性がすっ飛んできて、立派な別室に招き…

「憎まれ役」

元自民党幹事長、野中広務氏(82歳)とプロ野球監督、野村克也氏(72歳)の「対談」というより「対論」集だ。帯に「はい上がった男の格差社会憂国論」とある。 政界と球界、場こそ違うがともに百戦錬磨、知謀策略を尽くして宿敵と渡り合ってきたご仁だ。…

「フードファディズム」

副題に「メディアに惑わされない食生活」とある。著者は高橋久仁子群馬大教授(食糧化学)。玉石入り交じった身の回りの食情報に踊らされることなく、正しい食生活と健康のあり方を考えようとの提言だ。 高橋さんによると「フードファディズム(Food Faddism…

「コテコテ論序説」

「大阪」と聞いて、一番先に浮かぶイメージは? 吉本新喜劇、くいだおれ、道頓堀、川に飛び込む阪神ファン…「コテコテ」と称される大阪のシンボルの多くが、ミナミのなんば界わいに集中していることに気づく。 上田賢一『コテコテ論序説』(新潮新書)には「…

「ウナギ」

ウナギは日本人の好物だ。なんと世界の7割をこの島国で消費しているそうだ。そう言えば、かつては土用丑(うし)など年に数えるほどしか食べなかったのに、いまでは食べたいと思えば、スーパーやコンビニで年中安いかば焼きやウナギ弁当を売っている。 「こ…

「狂い」のすすめ

わが子ができたら「自由人」という名前にしたい−そう話していた友人がいる。生まれた子が女児だったので実現しなかったが、のびやかでひょうひょうとした彼らしい発想だとその時いたく感心した。 仏教思想家ひろさちやの「『狂い』のすすめ」(集英社新書)…

読了「ローマ人の物語」

やっと読み終えた。15年がかり。塩野七生著『ローマ人の物語』全15巻(新潮社)だ。 1年に1巻、15年で完結というユニークな刊行だった。主題は、古代ローマの建国から崩壊まで1300年に及ぶ興亡。その中身もさることながら、一度も途切れることな…