フードマイレージ

「フードマイレージ」という言葉を、先日読んだ『ウナギ』(井田徹治著)で初めて知った。食べ物を産地から運んでくる際に排出する二酸化炭素の量を数値化し、グローバル化時代の「食」が環境に与える影響を考えようという試みだ。
数字は、輸送距離(km)に重さ(t)を掛けて算出される。航空会社のマイレージは多いほど特典が増えるが、こちらは数が大きくなるほど環境に負担をかけていると見なされる。
日本でこの運動に取り組んでいるNGO「大地を守る会」(東京)は、輸送手段が航空機か船かといった要素も取り入れて「ポコ」という独自の単位を用いている。ホームページに専用の電卓が表示され、食品のイラストを選ぶだけで簡単に「ポコ」が自動計算できる。
試しにやってみると、サバ1切れ(60g)で長崎産なら0.09ポコ。これがノルウエー産になると0.22ポコに。旭川産のトウモロコシ1本(400g)は0.62ポコだが、米ワシントン州産なら2.35ポコ、といった具合だ。
1ポコは二酸化炭素100gに相当する。1品ずつ見れば大した数字ではないが、寄せ集めれば馬鹿にならない。その一方で、旬の地場産品がうまくて、体にも環境にも良いのは分かっている。でも高くて手が出ないという現実がある。
肩に力を入れる必要はない。「きょう食べたものはどこから来たのだろう」と考えるところから、と会では呼びかけている。「ポコ」はイタリア語で「少し」の意味があるという。まずは一人ひとりが「ポコポコ」と始めることが大事ということなのだろう。