お祭り料金

きのうの昼下がり。いつもの定食屋に入り、品書きを見て驚いた。「本日、祇園祭につき、特別メニュー」の張り紙。そう言えば、祭りのハイライト、山鉾巡行の日だ。
「鯖煮付け、京風たき合わせ、春雨酢の物、ごはん、海鮮みそ汁、きゅうりからし漬け」の6品で850円。きょうはこれしかできません、というのだ。ふだんの「鯖煮定食」は同じ6品ながら750円。実質100円の「便乗値上げ」である。
少しムッときたが、すでに大のおとなが4人、腰を落ち着けた後。しかたなく注文した。
京都に限った話ではないのだろうが、市民憲章に「旅行者をあたたかくむかえましょう」を掲げる観光都市だ。祇園祭だ、大文字だ、と言って、レストランや食堂、喫茶店がいつもより高い値段を吹っかける「お祭り料金」にはかねて不快感を持っている。
まして四条烏丸など祭りの沿道周辺ならいざ知らず、山鉾町から離れたビジネス街の定食屋で何が祇園祭だ、京風だ。来ているのは近くのサラリーマンばかりではないか。
出てきた皿に目を凝らす。サバ、ごはん、つけものはふだんと同じ。たき合わせと酢の物はこころもち多めか。みそ汁はいつものワカメのほかにサケ、ゲソのかけらがひとつ、ふたつ。これが100円の差らしい。
別に100円がどうのこうのと言うつもりはない。こんなことをする店だったのか。いつも愛想のよいおばちゃんの顔が、少ししらけて見えた。