中越沖地震

新潟で、また大きな震災が起きた。地震の規模は、3年前の中越地震と同じM6.8。亡くなった人の中には、前回の被災者もいるそうだ。「なんでうちばっかり」と嘆きたくなる住民の気持ちは分かる。
今回の震災で見落とせないのは、東京電力柏崎刈羽原発での火災、放射能漏れだ。変電器の出火確認から消防隊の到着まで1時間、鎮火までには2時間近くもかかったという。
119番がかかりにくく、通報が遅れたうえ、消防車の到着も遅かった。事前に定められていた社員による自衛消防隊の結成は、原発本体の点検作業などに追われて不可能だったとか。消防署員が化学消火剤で消すまで、事実上なにも対応できなかったわけだ。
海に漏れ出た放射性物質は、国の安全基準を下回るレベルで、東電は「環境に与える影響はない」としているそうだ。だからといって「ああ、そうですか」で済む問題ではない。
そもそも今回の地震は、耐震設計で想定していた「限界地震」を大幅に上回ったという。そんなことでよいのか。地震の規模は3年前と同じではないか。想定外だった、不可能だった、でも大きな影響はなかったから大丈夫−そんな理屈は通らない。
事故は千差万別。安全に「絶対」はないにしても、先行の過ちや経験が一向に生かされているように思えない。手の打ちようがないのか、その気がないのか。「限界」に来ているのは設計基準どころか、国民の怒りと不安であることを、国も原発操業各社も思い知るべきだ。