宇治茶のコラボ

ペットボトルの世界で、伝統の宇治茶ブランドが注目を集めている。
辻利一本店(宇治市)が、日本たばこ産業との共同開発(コラボレーション)で今月3日から緑茶飲料「辻利」を発売するらしい。1860(万延元)年、初代辻利右衛門がおこした老舗で、「辻利」は同社の商標でもある。
宇治きっての老舗、上林春松本店は、日本コカ・コーラと組んで「綾鷹(あやたか)上煎茶」を10月8日から売り出す予定だ。こちらは創業450年、豊臣家や徳川将軍家愛顧の歴史を誇る。「綾鷹」は、明治に入って同店が初めて一般向けに売り出した高級玉露の銘にちなむそうだ。
これまで宇治茶と言えば、抹茶や玉露、上煎茶など、あらたまった茶席や贈答に使われる高級イメージで売ってきた。その老舗中の老舗が相次いで大手飲料会社と手を結び、コンビニや自販機のペットボトル市場に参入するという。
この手の先駆けは、3年前に売り出された福寿園木津川市)の「伊右衛門」だ。サントリーとの協業で、宮沢りえを起用したテレビCMで大ヒットした。老舗ののれんと大手の資金力、互いの強みを生かしたイメチェンだが、果たして2匹目、3匹目のドジョウはいるか。
特定の老舗だけとはいえ、宇治の茶が全国的に名を広げるのはよいことだ。長らく低迷してきた地元の製茶業界が活気づくきっかけにもなればと思う。