コーダイ!

桜井広大の名前を初めて聞いたのは、6年前。食堂へ一緒に入った同僚が、スポーツ新聞を広げて「これ、やりまっせ。将来の4番、間違いなし!」と声を上げた。
そのとき「こうだい」と音読みする名前が印象に残ったが、ずっと2軍続きで忘れかけていた。それが今季途中から1軍に定着、ここへ来ての大活躍だ。同僚のうれしい「予言」が現実味を帯びてきた。
滋賀県野洲市出身。同僚の息子が野洲中学で同級生だったそうだ。「体が大きくてね。うちの子なんか、こいつによう泣かされたんですわ」。やんちゃ坊主だったらしい。しかし、わが子が泣かされた割には、同僚の話しぶりはずいぶん好意を持っているようだった。
そったまゆ毛にやんちゃ坊主の名残がうかがえるが、プロ6年目。本人も生き残りをかけて必死だろう。少ないチャンスを生かして2軍から1軍へ、代打からレギュラーへ、そしてこの広島戦から主砲・金本の後を受ける5番に起用されている。
きのうも本塁打を含む2長打3打点。守っても、頭上の大飛球をフェンスに激突しながら好捕した。甲子園初アーチの感想を聞かれて「2ボールだったし、速い球を狙っていた。スライダーなら空振りでもいいと思った」。目前での金本敬遠にも「僕的には『おいしい』と思った」。
この思い切り、積極性。おとなしい若トラの中で、コーダイのやんちゃぶりに期待が膨らむ。