ばんそうこう内閣

ばんそうこう内閣、ではなくなりましたね」。赤城徳彦農相更迭のニュースを聞いて、同僚がこうもらした。
だれが名付けたのか、「ばんそうこう内閣」とはよく言ったものだ。先の参院選で「歴史的大敗」という深手を負いながら、なお続投で切り抜けようとする安倍晋三首相を、赤城農相が顔の吹き出物に張ったばんそうこうに引っかけてこう皮肉った。
その「主役」が、きょうになって突然舞台から引きおろされた。選挙前から次々と明るみに出る赤城氏の不明朗な会計処理を「問題ない」と一貫してかばい続けてきたのは、ほかならぬ安倍首相である。
ここへ来ての方針転換は、選挙に大負けし、内外からの批判の高まりでこのままでは内閣そのものが持たないと判断したためだろう。もちろん赤城氏の責任は大きく、選挙前に自ら身を引くべきであったことは間違いない。
しかし、一連の閣僚不祥事で見せてきた安倍首相の対応は、不誠実で不十分な印象が強い。優柔不断、後手後手に回り、最後は「トカゲのしっぽ切り」で幕とは甘すぎる。
ずっと「問題なし」としながら、なぜいま更迭なのか。「問題あり」なら、どうしてもっと早く処分しなかったのか。首相は自らの責任を含め、国民にきちんと経緯を説明すべきだ。
ばんそうこうははがした後、処置を誤るとかえって傷口が悪化する。