愛機入院

形あるものは、みな壊れる。生き物には寿命、モノにも耐用年数という限りがある。
先週末、自宅のパソコンが起動しなくなった。思えば1カ月前ぐらいから「兆候」があった。電源を入れると「Warning」(警告)と書かれた英文の画面が現れ、ソフトウエアのバックアップなどを勧告する文言が読み取れた。
「そのまま使い続けるのならF1キーを」との記述もあったので、その通りにするとその時は復元した。以後、パソコンを起動するたびにこの警告画面が表示されるようになったが、そのつどF1を押して使ってきた。
それがとうとう頼みのF1キーを押しても別の英文画面が現れ、にっちもさっちも動かなくなったのだ。さあ大変。以前、メモリの増設を頼んだ出張サポート会社に電話した。
翌日来てくれた担当者の診断は「ハードディスクの寿命です」。ハードディスクはパソコンの頭脳か心臓部。その平均耐用年数は5、6年だという。わが愛機は満6歳だった。
1カ月前からの英文画面は「余命警告」、先週末の画面は「心肺停止」宣告だったらしい。そんな大事な告知は、きちんと日本語で表示してもらいたいものだ。
ハードディスク取り替えの見積もり額は4万9千円。新機への買い換えも頭をよぎったが、結局「移植」で延命させることにした。週明け、勤め先で自席のパソコンの電源を入れる。いつものように正常に起動する。当たり前のことがうれしい。
病気をして、初めて分かる健康のありがたさ。愛機が「退院」してくる明日が待ち遠しい。