がけっぷち

「お友達内閣」「ばんそうこう内閣」とたたかれた安倍内閣が、きのう衣替えした。新聞やテレビでは「重厚」「実務型」「仕事師内閣」などといった評価の一方、参院選惨敗で後がない「がけっぷち内閣」と冷ややかな見方もされている。
新閣僚の顔ぶれを見ると、確かに派閥の領袖やベテラン議員を幅広く並べてはいるが、総花的で改造内閣のカラーとか方向性といったものは感じにくい。その意味では「がけっぷち」の危機感を背景とした挙党態勢とは言えるだろう。
大して代わり映えしない中で、内閣の要となる与謝野馨官房長官の起用が注目されている。前任の塩崎恭久氏が「お友達内閣」の象徴としてやり玉にあがっていただけに、政策通とされる新長官に期待がかかるのも無理はない。
与謝野氏は、歌人与謝野鉄幹・晶子の孫と聞く。政権運営が「乱れ髪」にならぬよう、しっかりとしたかじ取りで「がけっぷち内閣」が「死にたまう」ことのないよう願いたい。
けさの新聞には、もうひとつの「がけっぷち」も報じられている。大相撲の横綱朝青龍が療養のため、あすにもモンゴルへ帰国するという。きょうの理事会の結論次第だが、仮に帰国が認められても角界やファンの理解が得られるかどうか。
巡業逃れの「仮病」疑惑は棚上げになったまま。ここへきて1億円の所得申告漏れも発覚した。けいこ不足もさることながら、こちらも「引退」の土俵際に立つ。くれぐれも「君、対応を誤りたまうことなかれ」と祈るばかりだ。