入力ミス

先日、定食チェーン「宮本むなし」を取り上げた際、本文の中でうっかり「日本一のご版屋さん」と記してしまった。「飯(の字)を使わないところがギャグ。どこまでも、お笑いのノリの定食屋さんですね」とのコメントをいただき、初めて入力ミスに気がついた。
同音異字の打ち間違いは、手書きなら起こり得ない、とんでもない字が入るからタチが悪い。しかも、入力画面ではきれいな活字体で、他の文字にまじって整然と並んでいるので、読み返しでもつい見落としてしまうのだ。
個人のブログで「飯」を「版」に間違えたぐらいなら、まだ笑って許してもらえそうだが、先日の新聞にその程度では済まない入力ミスが報じられていた。秋田県天皇・皇后の国体出席を市会議員らに通知する文書での間違いだ。
文中で「悪天候」とすべきところを、なんと「悪天皇」にしてしまったという。前後の文脈から誤字であることは明らかなはずだが、意地悪く3文字だけ見れば「わるてんのう」とも読める。たとえうっかりミスでも、関係者からすれば不快には違いない。
県は宮内庁に謝罪する一方、担当の男性職員を訓告、上司の課長を厳重注意の処分にしたそうだ。ただし、理由は誤字ではなく「内規に反し、部長の決裁を受けずに文書を部外へ出した」ためという。さて、そこまで理由をつけて処分する必要があったかどうか。
その昔、新聞1面の校閲作業で「天皇階下」の大見出しを見逃し、始末書を取られたという先輩がいた。「戦前なら不敬罪でコレやで」と首に手を当てて、舌を出していた顔を思い出す。