「白い恋人」の裏切り

また北海道か。十把ひとからげに言うつもりはないが、菓子「白い恋人」の表示改ざんのニュースを見て、そう思った。
雪印食品、ミートホープ…どちらも市場からの退場を余儀なくされた。あれほど大きく取り上げられ、そのたびに当事者から反省や謝罪の弁が繰り返されたにもかかわらず、また同じような不祥事が発覚、同じような釈明が行われている。
札幌市内には「白い恋人」のテーマパークがある。工場見学のほか、資料や美術品を展示、オリジナル版「白い恋人」の手作り体験コーナーもあって、なかなか楽しそうだ。先週、札幌へ旅行した折、立ち寄りたかったが、時間がなくてあきらめた。
石屋製菓は、サッカーのコンサドーレ札幌の公式スポンサーでもある。その練習場やクラブハウスの立派なことをタクシーの運転手が話していた。誇らしげな話しぶりから、同社が菓子だけでなく、元気な札幌の「恋人」として市民から親しまれているのを感じた。
白い恋人」は、発売から30年になるらしい。皮肉なことに、その記念キャンペーン商品が売れ残り、賞味期限を偽るきっかけになった。他の製品からは大腸菌黄色ブドウ球菌が検出されながら、その事実も隠していた。どれも、あるまじき背信行為と言わねばならない。
空港から駅、観光地と、これでもかと言わんばかりに並んでいた同社の製品が一斉に撤去されているという。信用を築くには長い年月がかかるが、崩れるのはいつもあっという間だ。