「ええじゃないか」では済まぬ

JR京都駅の売店で一番よく売れる土産物は、なーんだ? もう20年ほど前になるが、調べたことがある。生八つ橋? 京漬物? ブー、ブーッ。正解は、赤福餅(あかふくもち)。なんと伊勢の名物が、観光京都の玄関口でナンバーワンの人気を占めていた。
赤福」(三重県伊勢市)は創業1707年、今年でちょうど300年を迎える。赤福餅は同社の看板商品で、名前は「赤心慶福」(うそ偽りのないまごころで幸せを喜ぶ)に由来するそうだ。
その赤福餅が、製造日を偽って表示していたという。製造当日にはけなかった商品を冷凍保存し、解凍して出荷する日を製造日にしていた。消費期限も合わせてずらしていたらしい。偽装は30年前から常態化していた疑いが持たれている。
いい加減にしてほしい。このブログだけでも、もう何度、食品企業の偽装表示を取り上げたことだろう。同じような不正が、同じように発覚し、同じような謝罪を繰り返す。にもかかわらず、それが一向に「他山の石」として生かされないところに病理さえ感じる。
数年前、大津で赤福社長の講演を聴いたことがある。地域活性化がテーマで、社長は同社が中心になって手がけた伊勢内宮前の集客施設おかげ横丁」の成功について語っていた。
先に「白い恋人」の偽装表示では、北海道のさわやかなイメージまで損なわれたといわれる。赤福がせっかくの地域振興に水をさすことになれば皮肉というほかない。
同社のCMソングのように「ええじゃないか」では済まない。「赤心」が赤面しているに違いない。