ソーセージ純粋令

ドイツ東部のワイマールで、おもしろい古文書が見つかったらしい。ソーセージの厳格な製法を定めた最古の法令で、15世紀のものだという。
新聞記事によると、制定したのは地元の食肉組合。ソーセージの「王様」とされる「テューリンゲン・ソーセージ」について「材料は純粋で新鮮な肉だけを使用し、内臓は混ぜてはならない」などと書かれ、違反者には罰金も科しているそうだ。
ソーセージと言えば、ビールと並ぶドイツ人の好物。粗悪品を許さない「消費者保護法」が中世から存在した証拠と言えるが、裏返せばすでに当時から古い肉や内臓混入の手口が広く行われていたことになる。
600年後の日本で、同じような食品偽装が相次ぐ。福田首相は全閣僚に関係法令の総点検を指示し、近く制度や施策の抜本的な見直しに着手するという。法令の穴を徹底的に調べ、必要に応じて改正しなければならない。
ただ、一連の流れの中で気になることがある。「賞味期限」の問題だ。製造日まで偽って改ざんしていた行為は許せないが、余った食材をすべて捨てよと決め付けるのもどうかと思う。皮肉なことに、何十年間も期限を偽ってきた食品でもそれによる実被害は出ていない。
決まりは守られなければ意味がないし、また守ろうと思える決まりでなければならない。観念論ではなく、実態を踏まえ、食の安全はもとより資源保全環境保護の観点からもどうあるべきか。何百年も後の人が見ても笑われないよう、この際しっかりした法令や制度に改めたい。