シュプール号廃止

JR西日本が毎冬走らせていたスキー列車「シュプール号」が今季から姿を消した。一再ならずこの列車を利用していた者としては、愛惜の感ひとしおだ。
シュプール号」はバブル全盛の1986(昭和61)年にスタート、最盛期は35万人ものスキー客を京阪神から信州や上越のゲレンデに運んだ。昨冬の乗客が1万人にまで落ち込み、とうとう20年で幕となった。
京都駅を出るのが午後11時前後。専用列車だから、乗るのは全員スキー客。グループ、カップル、家族連れ…みんなでワイワイガヤガヤ、車内はまるで修学旅行。3段ベッドにもぐり込むと、あとはガタゴト、レールの音を子守歌にして雪国へ。
列車は途中の駅で時間調整しながら、ちょうど明け方に目的駅に到着する。雪の積もったホームでフーフー湯気を吹きながら信州そばをすすったのが懐かしい。
スキー人口の激減に加えて、高速道路の発達でゲレンデ直行の豪華バスやマイカーの利用が便利になった。詰め込み列車の出番がなくなったのも、仕方ないところかもしれない。
最後に「シュプール号」に乗ったのはもう何年前になるだろう。えらそうに言っても自分もまたブームに乗ってあちこちのゲレンデに通い、ブームの終わりとともに離れた口だ。
団塊世代に時間的な余裕ができ、けがをしにくい用具の開発などもあってスキー場に中高年の姿が戻りつつあるという。「シュプール号」なき後、さて今度は何で行くか。