ATMの隠し球

きのうの新聞広告を見て、驚いた。広告主は、コンビニにATMを設置しているセブン銀行。今月7日、栃木県内でATMごと強奪されたが、奪われた紙幣には特殊インクが付着しているというのだ。
広告によると、セブン銀行のATMは無理やり紙幣を抜き取ろうとすると、自動的に石油のようなにおいのする緑色インクを噴射する仕組みになっているとか。怪しい色やにおいの紙幣に気づいたら110番を、と呼びかけている。
なるほど、よく考えたものだ。実は同銀行では5年前の開業以来この装置を備えていたが、防犯対策として積極的な広報は控えていたらしい。今回の事件で被害紙幣が市中に出回る恐れもあるため、公表に踏み切ったという。
事件は、未明のコンビニに目出し帽の3人組が押し入り、ATMにロープをつないでRV車で引きずり出すという荒っぽい手口。ATMは近くで見つかったが、中の現金約760万円は抜き取られていた。計画的で大胆な犯行だったが、犯人たちもまさかこんな仕掛けがあるとは知らなかったに違いない。
紙幣にどの程度色が付くのか、自販機などでも検知できるのか、など装置の威力が分かるのはこれからだが、その存在が広く知られることにより今後への抑止力にはなったはず。犯罪は、犯す側と捕まえる側との知恵比べともいわれる。今回の「隠し球」で犯人たちの骨折り損に終われば、いい気味だ。
 
【写真左=銀行が出した新聞広告、右=緑色のインクが付いた紙幣の見本(セブン銀行ホームページから転載)】