連休に思う

若いころ、いつも不思議に思っていた。親しい部長刑事の休みの取り方についてである。
いまはどうか知らないが、当時の警察では夏休みのことを「タンレン」と呼んでいた。休暇は、体を休めるのではなく、鍛えるためにあるのだ。そんな意味合いだったのだろう。勤続年数によって違ったかもしれないが、たしかひと夏に3、4日あったはずだ。
いま思えば、50歳前後だったろうか。その刑事は連休にせず、必ず週半ばの水曜か木曜あたりに1日ずつ「タンレン」を取っていた。
ある時、聞いた。「○○さん、なんで連休取らへんの?」。彼の答えはこうだった。「子どもが小さいうちは泊まりがけでよう泳ぎに行ったりしたもんやけど。皆、もう独立して。連休なんて取ってもしゃあない。それより2、3日行ってはまた休み、ちゅうほうがええのや」
なあんだ。てっきり事件警戒か何かの理由だと思ってたのに。こちらの拍子抜けに気づいたのか、彼はこう続けた。「あんたも、わしぐらいの年になったら分かるわ」
今年のゴールデンウイークは4月28−30日、5月3−6日。きょうとあしたさえ休めば9連休になる。実際、けさの通勤電車はふだん以上にガラガラ、昼に行った食堂も空席が目立った。でも、海外へでも行くならともかく、家でゴロゴロに9連休も必要ない。
それよりも、きょう、あす出たらまた4連休が待っている。○○さんの言っていた気持ちが、最近ようやく分かってきた。