東農園「紀州五代梅 心」

たかが梅干しと侮ってはいけない。ひとつずつ丁寧に包装され、きれいな木箱の中に納まった風情は、さながら上菓子のよう(写真1)。気品さえ漂う。
製造元の東農園(和歌山県みなべ町)は、創業170年という紀州梅の老舗。「心」は、その中で贈答用に特製された最高級ブランドだ。
おごそかに包装紙を開け、中身を取り出す。プーンとしその香りが立つ。上品な紅色。はしでつまむと破けそうな薄皮、それでいて中の肉はぽってりとやわらかく重量感がある(写真2)。
塩分10%。うす塩味で独自の「二度漬け」が施されているという。ほのかに甘い、現代風のまろやかな味だ。
本来は塩分15%ぐらい、昔ながらの、口が曲がるぐらいの酸っぱさが好みだが、この際、個人的な嗜好は封印。熱ごはんの上にのせて、恭しくいただいた。
南紀へドライブに出かけた友人が送ってきてくれたものだが、ネットで調べたら10粒入りで3360円。なんと1粒336円。だれがふだんこんな梅干しを買うのだろうと思っていたら、ちゃんといた。タレントの藤原紀香さん。
かねてこの梅干しがお気に入りらしく、今春、お笑いタレントの陣内智則さんとの結婚披露宴の引き出物として使って話題になったそうだ。

★★★(ほのかに甘い紀香御用達)