ラーメン記念日

きのうは「ラーメン記念日」だったそうな。1958(昭和33)年の8月25日、世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」が日清食品から発売された。日本記念日協会に登録されている正式名称は「チキンラーメン誕生の日」。ことし96歳になる生みの親・安藤百福さんが元気にラーメンをすすっている写真が、けさの新聞に載っていた。
「おいしさまでのながーい3分間」のうたい文句どおり、湯をかけて3分間待つだけでできる手軽さ、安さ。当時はまだ小学生、ラーメンとはこの味が正統なのだと長い間思い込んでいた。
6年前、大阪・池田に開館まもない「インスタントラーメン発明記念館」へ行ったことがある。安藤さんが試作に試作を重ねた小屋が再現されており、さまざまな展示からその着想、苦心、工夫の跡がうかがえた。チキンラーメンの自作実習コーナーもあり、案内役の女性に教えてもらって挑戦した。
小麦粉に調味料、水をまぜながらこね、のばし、製めん機にかける。細長いめんを手もみしてちぢれをつける。金網製の器に入れて油で揚げる。文字で書くと何でもないようだが、安藤さんになった気分で、その努力の一端に触れる思いがした。
このときに作ったオリジナルの「マイラーメン」、持ち帰って長らく部屋に飾っていたが、あまり古くなるといけないので、半年ほどして食べてしまった。作り方がまずかったのか、古くなって品質が変わったのか、残念ながら市販の味には及ばなかった。
それまでの「支那そば」「中華そば」に加えて「ラーメン」という呼称が定着したのもチキンラーメンの普及によるところが大きい。インスタントラーメンは、いまや国民食から全世界で年間652億食もの消費を誇る。会見した安藤さんは2008年の「世界ラーメンサミット」大阪開催をぶち上げ「ラーメンは一番大事な自分の命みたいなもの。毎日食べて、アイデアを練っている」と意気盛んだったそうだ。
「インスタントラーメンは体に悪い」などと周囲に言われながら、50年近く食べに食べ続けてきた身には、安藤さんの長寿がなんとも心強く思える。で、一日遅れながら、今晩はチキンラーメンにした。
 
【写真左=今夜のチキンラーメン、写真右=世界でただひとつの「マイラーメン」。もう食べてしまった】