思案のテレビ

テレビがほしい。同僚と雑談しているうち、たまたまそんな話になった。聞けば同僚も、10数年前のテレビをまだ見ているという。「そろそろ買い替え時かな、と思ってるうちにずるずると…」。
わが家のテレビも堂々10年の古参。当時としては大きかった32インチのワイド型、ひとりでは動かすこともままならない大きな立方体がデンと居間の一角を占めている。2年ほど前からリモコンが利かなくなった。初めは電池を取り替え、次にはリモコンそのものも買い換えたが、いくらボタンを押しても知らん顔。どうやらテレビ側の受信部分が悪いらしい。
昔なら近所の電機屋さんに頼めば修理に来てくれたが、最近の電化製品はマイコンだのICだのとややこしいから町の電機屋さんの手には負えない。かといって、こんな年代物のどでかいテレビをメーカーに送っても「もうサポートしていません」なんて言われるのがオチだろう。もういい。
数年前から薄型テレビへの買い替えをもくろんでいるが、いざとなるとなかなかふんぎりがつかない。新聞、テレビの広告や詳しい友人からアドバイスを受けたり、量販店でパンフレットを集めたり。しかし「研究」すればするほど、買えなくなる。ハイビジョンの受信は、デジタル放送への対応は、プラズマか液晶か、それともリアプロか、画質はフルハイビジョンか…知れば知るほど「迷路」に入り込んでいく。
ここでも、昔なら電機店のおじさんのおすすめに従ってすんなり買っていたものを。情報が多くなり、かえって身動きが取れないこの皮肉。値段も最近は「オープン価格」で明記されていないことが多い。ネットで調べると全国最安値から平均値まで相場が分かって便利だが、そこに書き込まれているユーザーのコメントを読むと、また迷いが深くなる。
いかん。情報に振り回されるのは、もうよそう。秋にはゼッタイ買うぞ! テレビの前へチャンネルを替えに行くたびに、そう決意するのだが。