キャピタル東洋亭本店「トマトづくし」

秋風が吹いているというのに、ふとトマトが食べたくなって「キャピタル東洋亭」(京都市北区)へ足が向いた。「トマトづくし」なんて特別なメニューがあるわけではない。「南欧料理」を看板にするこの店では、季節ごとにおいしい産地からトマトを取り寄せており、年中トマトを使った豊富なメニューが楽しめる。
トップバッターは「トマトサラダ」(210円)。同店自慢の一品だ。この季節は北海道・平取(びらとり)町産。小ぶりで丸い真っ赤なトマトが、まるごと1個。皮をむき、上から自家製ドレッシングがかけられている。完熟。えぐみがなく、やわらかい食感。これだ。
続いてパスタ「アマトリチャーナ」(1050円)。ベーコンとトマトソースを使ったスタンダードなスパゲティ。濃いトマトソースがゆであげた細手のめんにからんで、これまたうまい。オリーブオイル、タバスコ、塩などの調味料も出てきたが、一切不要。
締めは、おなじみのピザ「マルガリータ」(998円)。モツァレラチーズの上に薄切りトマトが円形に散りばめられ、一面花が咲いたよう。パリッと焼き上げられたピザの焦げ目とのバランスが絶妙。ここまで来れば、気分はもう本場のイタリアーノ。
「キャピタル東洋亭」は1897(明治30)年の創業。京都でも屈指の老舗洋食店だ。締めの締めとして最後はトマトから離れて、名物「百年プリン」(504円)を。百年前の創業者のレシピを基に再現したというカスタードプリン。甘く、ほろ苦い明治の味に思いをはせた。
   
【写真は、上段左からトマトサラダ、アマトリチャーナマルガリータ、百年プリン】
★★★★★(老舗の丁寧な味づくり)