芝安「もちもち大竈きしめん」

名古屋のめんと言えば「きしめん」に「みそ煮込みうどん」。どちらも製めんに塩を用いず、一般のうどんとは違って、ほうとうすいとんと同じ仲間に入るらしい。製法、味ともに関東でもない、関西でもない、中部地方独自の気風を主張している。
きしめん」は、いわゆる平打ちめんで、JASで「幅4.5mm、厚さ2mm未満の帯状に成形したもの」と規定されている。キジ肉を入れた「キジめん」、御三家の紀州から尾張に伝わった「紀州めん」、竹筒で碁石のように打ち抜いた「棊子めん」、など語源もユニークな説が多い。
名古屋の街を歩いていると「みそ煮込み」の看板はよく目にするのだが「きしめん」は意外と少ない気がする。地元の人にも聞くのだが、なかなかうまく行き当たらない。
尾張 麺芝安(しばやす)」は、1907(明治40)年創業という製粉会社直営のめん専門店。きしめんはもちろん、みそ煮込みうどんも扱っており、東京のデパートや通販ではおなじみの地元大手メーカーだ、
「もちもち大竈(おおがま)きしめん」=写真=は、その名の通りもちもちしていて、なおかつきしめん特有の滑らかな口当たりが売りだ。添付のつゆは「名古屋しょうゆ」と呼ばれるたまりしょうゆがベースで、カツオのうまみがきいている。まったりとした関西だしに慣れた舌には、やや辛い。かと言って、東京のストレートな濃さや辛さとはまた違う。本場の「かけきしめん」をまねて、多めのカツオ節と刻みネギでいただいた。

★★★★(まあ、いっぺん食べてちょ〜)