私的経済制裁

少し前のことになるが、大企業が株主総会対策として総会屋に金を渡していた事件が発覚、企業の担当者が逮捕される事件が相次いだ。まだ「コンプライアンス(法令順守)」などという言葉が広まる前のことだ。企業側は例によって「トカゲのシッポ切り」で、あとはひたすらほとぼりの冷めるのを待つかのような態度に終始した。
その時、ひそかに決意した。「反社会的な企業は、個人的に干してやろう」。たったひとりの不買行動など、大企業にとっては蚊に刺されたほども感じないのは承知のうえだ。しかし、たとえ1円たりとも、自分の金が総会屋や暴力団との「黒い癒着」なんかに使われてたまるか。そんな思いで「私的制裁」に踏み切った。
最初は、○ビール。居酒屋などで注文の際は必ず別の銘柄を指定、同僚にも理由を話して協力してもらった。「ガリバー」といわれたその会社は、数年後に首位の座を転げ落ちた。決して当方の不買が効いたわけではないが、痛快だった。お次は△百貨店。これも買い物は別のデパートに切り替えた。×証券の時は、残念ながらこちらにボイコットすべき取引がなかった。
北朝鮮がきのう、地下核実験に成功したと発表した。いまのところ事の真偽、成否は確認されていないそうだが、国際世論をあざ笑うかのような挑発行為であることは間違いない。発足したばかりの安倍内閣にとっても強烈な先制パンチだ。今後の対応に世界の関心が高まる。
これとは別に、私的に行動を起こすことにした。北朝鮮の対日主要輸出品の個人ボイコットだ。さしあたりは、マツタケから。季節はずれの安いマツタケには気をつけよう。以前、北陸地方で見つかった北朝鮮産のマツタケにはクギが刺さっていたという。多数に及んだため、マツタケの重量を増すために故意に打ち付けられたのではないか、との憶測も生まれた。
少し早いが、ズワイガニも対象だ。水産物は水揚げされた港が産地表示に使われるそうだから、よけいに注意が要る。
マツタケなら丹波産、ズワイガニなら地場の証明タグ付きの松葉や越前を食すこと。もっとも、国内産が高すぎて手が出なければ…「食わねど高ようじ」でいくしかない。