お受験の季節

「お受験」のシーズンがやってきた。京都では、今春開校した同志社立命館の両小学校の入学試験が今週末から来月初めにかけて行われる。どちらも名門私学、小学校から大学までの「一貫教育」が売りで、2期目の今年も高い競争率が予想されている。
ある新聞が東京、大阪の未就学児を持つ父母1000人を対象にした調査によると「わが子に小学校受験をさせたい」人は16.5%。そう答えたのは、母親(12.2%)より父親(20.8%)が多かったそうだ。ひと昔前は「教育ママ」なんて言われたが、いまや受験に熱心なのはパパのほうらしい。
「させたい理由」では「優れた環境で勉強させたい」「いじめや学級崩壊の多い公立には行かせたくない」「教育方針が明確」などが上位を占めた。悲惨ないじめで自殺者まで出ている現状を見れば分かる気もするが、なぜか「エスカレーター式で大学まで進学できる」は5位で、40%にも満たなかった。いささか建前と本音が違うような気もする。
ま、いずれにしても、かわいいわが子を思う親心に変わりはない。この日にそなえて、早くから塾通いをしてきた子どももさることながら、保護者自身も面接があるというから大変だ。パパやママを対象にした「面接セミナー」はどこも花盛り。「子どもの足を引っ張らないように」と歩き方から笑顔の作り方、ファッションまで涙ぐましい努力を傾けているという。ママの服装は濃紺のワンピースと上着のアンサンブルが無難、足元のスリッパは柄物禁物、などといった「お受験情報」がまことしやかに独り歩きしているそうだ。
こうした風潮を「親ばか」と片付けるのは簡単だが、これを迎える学校側にも責任なしとしない。どこも表向きは「服ではなく、家庭での教育方針やしつけなど受け答えの中身を見ます」などと口をそろえているが、もっと踏み込んで「過剰な受験対策は不利になりますよ。ふだん着でお越しください」ぐらい注意してはどうか。そうすれば、ばかげたお受験狂騒曲も少しはトーンダウンするのではないだろうか。
無理して入っても、しょせんは本人次第。長い人生だ。競争もなく、雨風の少ない「温室育ち」ばかりがよいとは限らない。小学校から大学までバラバラ教育で育った「雑草」としては、そう思う。