番号継続制スタート

けさの新聞は各紙とも派手な全面広告が目を引いた。ドコモ、auの2大携帯電話会社が張り合うようにカラー広告をドカンと掲載している。
携帯電話の番号継続(ポータビリティー)制度(MNP)が、きょうから始まった。これで携帯会社を替えても、電話番号はそのまま替えずに使える。
利用者にとっては番号変更なしに携帯各社のサービスを自由に選べて便利になるが、携帯会社にすればこれまでの顧客が他社に逃げないよう、逆に他社の顧客を誘い込む策を講じなければならない。ピンチになるか、チャンスとするかは各社のアイデア次第というわけだ。
9300万人といわれる携帯人口のうち、他社へ乗り換えるのは年間500万人ほどというが、MNPの導入でこれが1000万人にはね上がるのではないかと予想されている。各社とも新機種の発表などでシェアの確保、拡大に力を注ぐ。後発のソフトバンクモバイルは低額の料金体系を発表、安さを前面に打ち出した。当初「料金値下げの消耗戦はやらない」としていたが、ここへきて新たな料金競争の可能性も出てきた。
利用者としては、こうした各社間の健全な競争は大いに歓迎。より安く、便利に携帯電話が使えるのはありがたい。ただ、競争激化に伴い、料金体系をはじめ、機能やサービスの内容が複雑になり、よほど詳しく教えてもらわないと違いが分かりにくいのは困ったものだ。
毎月送られてくる請求書を見ても、通話料、通信料に始まり、パケットなんとか、○○割引、○○プラン…契約時には一応説明は受けているのだろうが、明細項目の意味さえろくに分からない。機能にしても音楽、写真、動画、テレビ、インターネット、電子決済、地図、ゲーム…と盛りだくさん、こんな機能を全部使う人が何人いるのかと首をかしげたくなるほどだ。
その割に、通話範囲やメールの送受信、音声の質など日常的な基本性能に物足りなさを感じることが少なくない。価格や付加機能のさらなる競争もよいが、各社にはこれを機に、本来の通信手段としての充実、対応を強く望みたい。