朽木岩瀬山小屋「焼鯖押寿司」

先週末に若狭へ行った帰り、朽木(滋賀県高島市)の道の駅で「焼鯖押寿司」(1400円)を買った。包みの商品表示には「鯖街道朽木 岩瀬山小屋自家製」とある。
京都・出町と福井・小浜を結ぶ若狭街道は、別名「鯖街道」と呼ばれ、朽木もかつてその宿駅のひとつとしてにぎわった。若狭でとれたサバを3枚におろし、ひと塩あてる。てんびん棒にかついで京都までの18里を1昼夜かけて運んでくると、ちょうど適度の締め加減になったという。さばずしには、古人の知恵が詰まっている。
秋の深まりとともにサバは大型になり、脂がのってくる。この時期は、焼きサバがとくにうまい。昆布に包んだ普通のさばずしがまろやかで上品な味とすれば、焼きさばずしは塩の香を引き立てたワイルドな味が身上だ。
竹の皮を開くと、プーンと香ばしいにおいが広がる。焦げ目のついたサバの表面は、浮いた脂で光っている。しょうゆを落としても、はじいてしまうほどだ。ごはんはもう少し酢がきいていてもよさそうに思うが、サバの香りを損ねないよう、あえて抑えてあるのかもしれない。
幾切れかを食べた後、説明書に従って「茶漬け」も試みた。焼鯖押寿司をひと切れ茶わんに入れ、熱い番茶を注ぐ。添付のわさびを落として、一気にかき込んだ。番茶が焼きさばの塩味と出合い、ツンとしたわさびがその味覚をいっそう高める。うまい。こりゃ二日酔いにもいけるぞ。
  
【写真左=香ばしい焼鯖押寿司(ラップでよけいに光っている)、写真右=おすすめの番茶漬け】
★★★★(そのままで、茶漬けで、と2種類の食べ方が楽しめる)