グーグルの泣き言

何気なくパソコン雑誌のページをめくっていたら、面白そうな記事が目についた。正確なタイトルは覚えていないが、インターネット検索の最大手・グーグル社(米国)が「googleを動詞に使わないで」と呼びかけているという内容だった。
記事によると、米国では「ネット検索をすること」を「to google」と言うそうだ。そういえば日本でも同様の意味で「ググる」という動詞が、ネット利用者の間で定着しつつある。
ひところ、コピーすることを「ゼロックスする」と言っていた。あれと同じようなものだ。一企業の社名や商標が一般動詞に使われるというのは、それだけ社会に広く知れ渡っている証拠である。当の会社にとっては喜ぶべき現象だと思うのだが、事はそう単純なものではないらしい。
日本語の「ググる」程度なら問題ないが、英語で「google」が一般動詞として使われると、ネット上でグーグル社と関係のない記事までが同社と関連づけられて検索表示されることになる。オンライン上にある膨大な記事の中から特定の文字列を引っ掛けて検索するグーグル自慢のロボットシステムが、皮肉にも自社名の文字列で検索結果に混乱を生じてしまうというわけだ。
記事を読む限り、グーグル社の幹部がどこかの場で漏らした「泣き言」らしく、いまのところ社として特別な対応策を取るまでには至っていないようだ。しかし「google」の商標権にかかわる問題も含んでおり、今後どう展開するのか興味深い。
検索対象のウェブページ80億、全世界の上空から撮影した精度の高い衛星画像…と、グーグル社は最先端の技術を駆使して、地球規模の情報通信手段として驚異的な成長を遂げている。それを支える中核技術が、高性能検索ロボットだ。かの弁慶以上、万能に見えるロボットにも思わぬ「泣きどころ」があったということか。