金沢「加能ガニ」

わが家の大皿にデンと鎮座ましますのは、「加能(かのう)ガニ」=写真=。能登半島蛸島漁港(石川県)で水揚げされた地物のズワイガニだ。腕(脚?)に巻いた水色の標章(タグ)は、その産地表示と品質保証の印。金沢みやげに頂いた。
「加能ガニ」と言っても、知る人は少ないはずだ。無理もない。石川県漁協が先月、公募して命名したばかりなのだから。ズワイガニは福井では「越前ガニ」、京都から山陰にかけては「松葉ガニ」と呼ばれ、日本海の冬の味覚王者として広く好まれている。
石川では、これまで一般名詞の「ズワイガニ」を使ってきたが、近海の輸入物も多く、地物と混同されないよう今年から独自のブランドづくりに乗り出した。「百万石ガニ」「兼六ガニ」といったアイデアもあったらしいが「加賀と能登を合わせて県全体をイメージできる」として「加能」に落ち着いたという。
日本海ズワイガニ漁は今月6日に富山以西で解禁されたばかり。もちろん、わが家で口に入るのは今シーズン初めて。皿の上で「記念撮影」の後、さっそく食卓に上った。
浜ゆでされており、二杯酢で身をせせった。ほんのり気品のある甘さ。うーん、これだ。ミソもこってりし過ぎず、口の中で嫌味なく特有の味わいがゆっくり広がった。
今年は水温が高く、カニ漁の敵・越前クラゲが大量に発生しているとのニュースが報じられている。この冬、腕章を付けたカニ様と何回お目にかかれるやら、ちょっぴり気がかりではある。
  
 ★★★★(松葉、越前が何だ)