黄桜ビール「ホワイトナイル」

早稲田大学エジプト考古学京都大学の植物遺伝学が出会い、現代に甦(よみがえ)った古代エジプト文明…」。ちょっぴり仰々しいが、ボトルのラベルに書かれた文章から、開発に携わった人たちの力の入り具合がうかがえる。
ビールの起源は、紀元前3000年ごろの古代メソポタミアからエジプトとされている。当時の人々は、ビールの原料を作るためにパンを焼き、パンを焼くためにビールを作ったそうだ。
2年前、早大吉村作治客員教授が壁画をもとに古代エジプトビールの再現に成功、その際に古代エジプトでビール原料に使われていた「エンマー小麦」の種子を提供したのが京大農学研究科栽培植物起源学研究室だった。これを縁に両大学が手を結び、黄桜酒造(本社。京都市伏見区)との3者による共同開発で商品化したのが、この「ホワイトナイル」=写真左=というわけだ。
エンマー小麦の近縁種「デュラム小麦」を使い、京都の地下水で製造した現代版の小麦入りビール。歴史のかなたに思いをはせながら、ポンと栓を抜く。心なしか、いつもとは違うかぐわしい香りが鼻先に漂った。写真を撮っているうちに泡が薄くなってしまったが、飲み口はさわやかですっきりとした印象。よくある「地ビール」特有のくさみがなく、飲みやすい。その分、味がおとなしい。
1本(330ml)450円。ラベルの端に「Kyoto University」「Waseda University」の名が入っている=写真右=。今年4月から両大学生協や黄桜直営店で販売され、半年で目標の3万本を上回る4万4000本が売れたという。来年は、京大農場で収穫したエンマー小麦を使い、正統古代エジプトビールを出すそうだ。
   
 ★★★(話題性十分。知的興奮?の味)