猿が去る?

きょうの朝刊におもしろい記事が出ていた。畑を荒らし回る野生猿の撃退法を研究していた滋賀県農業技術振興センターが、ヤギを飼うと猿が近づかないことを突き止めたそうだ。
猿による農作物の被害は、山村の悩みのタネだ。カカシや空砲の脅しぐらいでは猿知恵に勝てない。かつてあまりの被害に手を焼いた京都府北部の町がハンターに協力を依頼したが、地元の猟友会は尻込みした。銃口を向けると、猿は猟師のほうに手を合わすような格好をするそうだ。姿やしぐさが人間に似ているため、引き金を引けないというのだ。
今回の研究はこうした手荒い策ではなく、動物を使って動物に退散してもらう方法を考えたところがミソだ。ソフトな「天敵」探しである。
記事によると、最初は牛を畑周辺に放牧して試した。シカやイノシシに対しては効果があったが、猿はしばらくすると牛に慣れてしまったという。そこでセンターでは牛に代わってヤギ、羊、シャモ、ダチョウ、豚の5種類の動物を使い、高島市内のブドウ園周辺で10日おきに放牧、ビデオ撮影で観察した。
その結果、豚とシャモは猿に驚いて逃げ回った。羊は猿には無関心、猿も目の前を素通りしてブドウ園に侵入したとか。そういえば、羊と猿はえとの隣同士、もともと相性が良いのかもしれない。ダチョウは当初猿に驚いたが、慣れると追い回すなど一定の効果があったそうだ。
こうした中で、最も効果があったのがヤギ。木の上からブドウ園をうかがう猿を、長い時は25分もにらみつけて退散させた。猿は10日間に3度来たが、ヤギの視線を恐れてか、1度も園に近寄れなかったという。
うるさい豚やシャモではなく、おとなしいヤギの「にらみ」が一番効いたとはおもしろい。あの陰うつそうな目つきを嫌う猿の気持ちも、なんだか分かるような気がする。
かねてわが家でも庭を荒らし回る猫に頭を痛めている。黒、白、ブチ、トラ…入り代わり立ち代わりやって来て、フンをするは、コケをはがすはのろうぜきの数々。夏にはこのうちの一匹を追いかけて足に肉離れまで負ってしまった。にっくき猫め。かと言って、狭い庭にヤギを入れるのは無理。センターの研究員さん、ヤツらをキャット言わせる名案ありませんかねえ。