新・世界の七不思議

21世紀の「新・世界七不思議」の候補に、日本からただひとつ、京都・清水寺が選ばれたと聞いて「へえ」と不思議に思った。
スイスに本部を置く「ニュー・セブン・ワンダーズ財団」がインターネットを通じて世界中に投票を呼びかけており、07年7月7日午前7時の締め切りで集計し、上位7件を選定するという。なにやらちゃめっ気を感じるが、スイス政府やユネスコなども協力し、日本人では建築家の安藤忠雄さんらが選考委員に入っているというから、まんざら「お遊び」でもなさそうだ。
これまでに世界各地から200に上る「驚くべき建造物」の中から21の「最終候補」が選ばれ、投票にかけられることになった。清水寺は、中国・万里の長城ギリシャアクロポリス、ペルー・マチュピチュ遺跡、イースター島・巨大石像群などとともにその中に入ったわけだ。
「舞台造り」の清水寺は確かに見事な建造物であり、「七不思議」に選ばれたら京都人としても喜ばしいことだとは思う。しかし、上記のほかメキシコ・チチェン・イツァ遺跡やカンボジアアンコールワット遺跡など、名だたるライバル候補を見ると、なぜ日本から清水寺なのか、意外感は否めない。21候補の中で唯一の木造建築物だというが、古さなら法隆寺、大きさなら東大寺だってある。
とまれ京都府京都市でつくる京都観光振興会議や清水寺門前会などは大張り切りで、ホームページに投票サイトへのリンクを張ったり、著名人に「応援演説」をしてもらうなど熱が入っている。先週には森清範貫主がじきじきに投票を呼びかけた。
思い切って物事に踏み切ることを「清水の舞台から飛び降りる」と言う。これは「命をかけて飛び降りれば、願い事がかなう」との俗信が下敷きになっているらしい。寺の古文書には、江戸時代の148年間に未遂を含む234件もの飛び降りが記録されているそうだ。
いくら七不思議への「当選」を願うといっても、決して「飛び降りを」なんて早まってはいけない。清水の舞台は地上13m、ビルなら5、6階の高さだ。下にはたくさん木の枝が広がっているとはいえ、上記234件の生存率は、85.4%だったそうな。