紅葉渋滞

京都の紅葉が盛りを迎えた。
「京都の人はいいですね。いつでも見られて」なんて言われることがあるが、実際はそう簡単にはいかない。桜と紅葉の季節は、交通大渋滞の時期でもある。大原や高雄など車でしか行けない名所へは何時間も車内ろう城を覚悟しなければならない。高雄の紅葉など、もう小学生ぐらいのころから見たことがない。
きのう、所用で東福寺東山区)近くへ車で行った。京都駅からだと、ふだんなら15分もあれば十分なのだが、その倍以上の時間がかかった。予定より30分ほど早めに出たので助かったが、あやうく遅刻するところだった。
けさは、かかりつけの鍼灸院へ行くため大徳寺(北区)の前を通りがかったら、門前の有料駐車場がもう「満車」だった。長いマイカーの列ができ、案内の警備員が引っきりなしに来る観光バスやタクシーの整理に追われていた。滋賀、神戸、沼津…他府県ナンバーが目についた。車で鍼灸院へ行く時は、いつもここの駐車場を利用するのだが、混雑を考えて自転車にしたのが正解だった。
昼前は用事で修学院(左京区)の近くへ車で出かけた。鴨川を渡った辺りから北山通ノロノロ運転。人気のレストランやカフェの前は人だかり。ふだん客の少ない店にさえ行列ができていた。叡山電車の「修学院」駅前からは地図を手にした一団が歩道を埋めて離宮のほうへ向かっていた。
京都市では、近郊まで車で来てもらい、途中から公共交通に乗り換えてもらう「パーク&ライド」を呼びかけているが、反応はいまひとつのようだ。観光する身になれば、ドア・ツー・ドアの便利さを捨てて途中で車を降りる気などならないのも無理はない。かつて「マイカー観光お断り」を掲げたこともあったが、いつの間にか立ち消えになった。
年間5000万人近い観光客が押し寄せる京の町。観光で直接潤っている人はともかく、大多数の京都市民にとって、この季節は忍従しかない。「国際観光都市」もなかなかつらい。
と言っても、あしたの日曜日は雨の予報。きょうあたりが紅葉見物のピークだったかもしれない。比叡おろしを受けて、木々から赤や黄の葉が舞い落ちると、京は「底冷え」の季節に入る。
  
【写真上段=紅葉に彩られた境内、下段=満車で込み合う駐車場(いずれも25日午前、京都市北区大徳寺)】