どこまで続く知事逮捕

15人に1人の割で逮捕されている職業って、なーんだ? 暴力団、総会屋、高利貸し…そのどれでもない。正解は「知事」。
福島、和歌山に続いて、きのう宮崎県知事が逮捕された。全国で47人しかいない知事のうち3人が、この50日足らずの間に汚職でつかまったことになる。まだ「容疑」の段階とはいえ、まさに「職を汚す」行為で腹立たしい限りだ。
談合自体はいまに始まったことではない。自由競争にするとかえって混乱を起こすとして、一部には「必要悪」との声さえある。表向きにいくら「規制緩和」を叫ぼうと、裏へ回ればムラ社会の体質は変わらない。内輪だけの「和」をもって貴しとなす仕組みだ。
問題は、そうした不正の頂点に知事が関与していることにある。住民の直接選挙で選ばれる知事は、自治体予算の立案・執行をはじめ広範な行政権限を一手に握っている。ひとつ間違えば権限が権力となり、利益団体とのなれ合いや癒着を生みやすい。3件とも地元の官庁や業界に通じた「フィクサー」が、知事の威を背景に公共工事を仕切っていた。見返りは、もちろん選挙時のカネと票。絵に描いたような官業癒着がいまだ絶えないところに根の深さを痛感する。
相次ぐ知事の犯罪摘発は偶然とは思えない。規制緩和地方分権地域格差といった文脈の中で進む地方権力の腐敗をこれ以上放置できないという検察、警察当局の強い危機感と意図を感じる。
市町村長を加えると今年だけで15人もの首長が談合疑惑で摘発されている。司直の手を待たねば正せないというところが恥ずかしく、情けない。