ロナウジーニョの色紙

来日したサッカーのブラジル代表、ロナウジーニョ選手が、日本サッカー協会に頼まれていじめ自殺や虐待が相次ぐ日本の子どもたちに激励のメッセージを贈ったそうだ。
「生きろ、生きろ、自殺なんかするな」「絶対に夢をあきらめるな。君の人生を精いっぱい生きろ」「人生は美しい。心にたくさんの喜びと愛を持って生きよう」。メッセージは、3枚の色紙にポルトガル語で書かれている。
どれもいい言葉だ。スポーツマンらしい力強さとすがすがしさがある。サッカー少年だけでなく、きっと大勢の日本の子どもたちの心にしみ込んだはずだ。
これに引きかえ、日本の…と思っていたら、阪神の赤星、安藤選手がきのう奈良市内の養護施設を訪れ、入所の子どもたちとゲームをしたりして交流したとのニュースが流れた。赤星選手は入団以来、シーズンの盗塁数と同じ数の車いすを各地の施設に贈り続けてもいる。徐々にではあるが、日本の選手の間にもこうした動きが広まっているのはうれしい。
不祥事があっても「野球選手はグラウンドで(汚名を)返せばいい」などと恥ずかしげもなく言えたのは昔のこと。スポーツという閉ざされた社会にこもりがちな選手にとっても、「社会人」として外の世界に目を向けるいいチャンスになると思う。
照れ屋で口下手が多い日本のアスリートに、ロナウジーニョ選手のような決めぜりふは無理だろうが、誠心誠意は必ず伝わる。高い年俸をうんぬんできるのも、社会の理解や支持があってのものであることを忘れないでほしい。