三太九郎

夕方、買い物に行くのに車のエンジンをかけたら、いきなりカーナビから「メリークリスマス! きょうは12月24日…」と女性の合成音声が流れ、びっくりした。さすが日本車、すごいと言うか、やり過ぎと言うか。
スーパーの広場では、学生の男声コーラスグループがクリスマスソングを披露=写真=、大勢の客を集めていた。店内の食品売り場は、もちろん「クリスマス・ホームパーティーメニュー」。「クリスマスロール寿司」なる玉子の太巻きまでどっさり並んでいた。
この時期、郊外の住宅地などで外観を派手なイルミネーションで飾り立てるのがはやっている。1軒で何十ものコンセントを使い、この月だけで7000円〜1万円も余分に電気代を払うそうだから、これもすごい。宗教や信仰の有無にとんちゃくしない、いかにも日本らしい光景ではある。
明治時代、サンタクロースの説話が日本に伝わった当初「三太九郎」と呼ばれたそうだ。舶来の新奇なモノや風習に対する好奇心の強さは、われわれの中に組み込まれたDNAのせいかもしれない。
煙突のない家のどこから入るのか知らないが、今夜あたり、多くの家庭でやさしい三太が足音をしのばせて、わが子の枕元を回るはずだ。こちらは子どもを喜ばせてやろうと「三太苦労す」といったところか。ご苦労サンタ!