化粧直し専用室

朝の地下鉄で向かいに座った若い女性が、小さな鏡をのぞき込んで化粧に余念がない。ざっと車内を見渡すと、2、3人が同じように顔をポンポンはたいたり、口を開けて紅を塗っていた。
電車内での化粧は「行儀が悪い」とひんしゅくを買い、ひところよりずいぶん減った気はするが、まだまだなくならない。優先座席での携帯メールなどとともに「不快行為」としてこれだけやり玉に挙げられてもこたえないのは、よほど無神経か、社会性がないのだろう。
と言っても、外出途中で化粧直しをしたくなる場合があるのも理解できる。そんな女心を考えて、このほどJR大阪駅に有料の化粧直し専用室が登場した。元運転士の発案で、「駅でゆっくり化粧をしたい」という妻の声を聞いてJR社内で提案、受け入れられたそうだ。
女性専用で、1時間300円。落ち着いた雰囲気で、ゆったりとした化粧台のほか、着替えスペースや喫煙コーナーも設けられている。松下電器資生堂が提供するドライヤーや化粧雑貨なども自由に利用できるという。
化粧直しを目的にした有料施設は国内初。評判しだいで他の駅にも広げていくとか。これで車内のマナーが上がれば、JRも一石二鳥だ。あとは女性利用者が「有料」になじむかどうか。さて300円、高いか、安いか。