初夢

一富士、二鷹(たか)、三茄子(なすび)。江戸時代から、初夢に見ると縁起が良いものの順とされている。
富士は納得できるが、あとの2つはピンと来ない。鷹は「つかみ取る」、茄子は「事を成す」、あるいは「むだ花がない」などとゲンをかついだものらしい。
自分は夢を見たことがないと言う人がいるが、だれでもひと晩でたくさんの夢を見る。ただ、いちいち覚えていないだけだ。覚えているのは目覚める直前の夢だけ−そんな研究者の話を聞いたことがある。
ゆうべ、酒を飲んでいたら、そばにいただれかから「飲酒運転だ」と指摘され、うろたえている夢を見た。「車に乗っていないのに、なんで飲酒運転や」と言い返しているところで目が覚めた。
酒はよく飲むが、飲酒運転は決してしない。なのに、なぜこんな夢を見たのだろう。よく考えたら前夜、わが家で隣のご一家と新年会をやり、その席で警察の交通取り締まりの話をしていた。それが頭の隅に残っていたのだろうか。
つまらない「初夢」でがっくりしたが、「一富士、二鷹、三茄子」を調べていたら、その続きがあることを知った。「四葬式、五雪隠(せっちん)」。なぜそう言うのか分からないが、不浄もまた吉夢。悪い夢にもがっかりするな、という古人の救いと
解釈しておこう。