新年式

仕事始め。亥年は荒れるというが、まずは平穏な三が日だった。
きょうは官公庁をはじめ、多くの企業、地域団体で新年式や賀詞交換会が催されたことだろう。組織のトップが年頭の抱負を述べたり、ことし1年間の親交を誓う恒例行事である。
これまでに印象深かったのは、宇治市での賀詞交換会だ。行政と商工団体の共催で、例年百人以上が参会する。
開式が告げられると、最初に登壇するのは市内で活動する合唱団体の代表者。会場の隅まで通るバリトンで「年の始めのためしとて…♪」。唱歌「一月一日」を朗々と歌う。参会者も配られた歌詞カードを手に続く。乾杯は酒類ではなく、昆布茶。なんとも茶どころ・宇治にふさわしい和やかな雰囲気を感じた。
この種の式典では、会場の正面に掲げられた「日の丸」に登壇者が恭しく一礼、一同直立不動で「君が代」斉唱というお決まりのパターンが多い。国旗や国歌を尊重するのは大切だが、企業ならまだしも、いろいろな考えを持つ人が集まる場では違和感を抱く人もある。年始の親ぼくが目的の場なのだから、やわらかい発想があってよいと思う。
安倍首相は年頭会見で「美しい国づくり元年」と位置づけた。その意気やよし。ただし、猪突猛進ではなく、多様な声や少数意見にも耳を傾ける「幅」を注文しておきたい。