大間マグロ

本州最北端の町、青森の大間(おおま)には2度行ったことがある。最初は学生時代の30数年前。函館からフェリーに乗り、夜に着いた。11月半ばというのに津軽海峡を渡る強風に小雪が舞い、寒々とした港町の印象しかない。
2度目は2年前の夏。すでに「マグロの町」として知られ、大間崎の石碑前あたりには食堂や土産物店が軒を連ねていた。そのうちの1軒で「マグロ丼」=写真左=を食べた。ふだん口にしているマグロとはひと味もふた味も違う気がした。
この正月、テレビでやたら大間の「マグロ」が取り上げられている。元日は夜のゴールデンタイムに3時間もののドキュメント。4、5日は渡哲也、松坂慶子のドラマ、6日夜にもドキュメント。いずれも北の荒海を舞台にしたマグロ漁師たちの苦闘を描いたものだ。
ドキュメント番組は2年ほど前からたまに放送されていたが、よほど視聴率が良いのだろう。国際的な漁獲制限で話題になっていることもあろうが、やっぱり日本人はマグロが好きなのだ。
大間から帰った後「ホンモノの大間マグロは築地に直送される。地元では口に入らないはず」と何人かに言われた。ならば、とその年の末にわざわざ築地の場外市場で正真正銘の大間産本マグロを買って帰った=写真右=。名刺2枚分ほどの大きさで、5200円。仲のよい隣のご一家と5、6人で数切れずつ口にした。
ここまでくれば、マグロも「国宝」級。正月のテレビを見ていたら「世界遺産」級に思えてきた。これからは心して、いただきたい。