女子駅伝の屋台村

全国女子駅伝大会の楽しみは、ふたつある。ひとつは、もちろん都大路で繰り広げられるレース。もうひとつは、メーン会場の周りで催される「ふるさと屋台村」だ。
後者を主催するのは、京都にある36道府県の県人会でつくる「京都ふるさとの集い連合会」(ふるさと連)。毎年、女子駅伝に協賛して西京極陸上競技場の正面スタンド前広場にテント張りの屋台を出す。今年も9つの県人会が店を開き、大勢の客を集めた。
ジャガバター・北きつねうどん(北海道)、玉こんにゃく(山形)、だんご汁(大分)、さつま揚げ(鹿児島)など、それぞれふるさとの味が売り物だ。第1走者が競技場から出て行き、アンカーが戻ってくるまでの2時間余りが屋台村の「書き入れ時」になる。
どの店も素人の手作りで味は「それなり」だが、お国なまりも飛び交い、作り手も客も和気あいあい。県外の者まで楽しくなる。きょうはまず熊本ラーメンを目指したが、長蛇の列で断念。皿うどん(長崎)も大人気で、隣の出雲そば(島根)に並んだ。
役員さんによると、用意したそばは800食で、1杯300円。帰りに前を通ったら、走り終わった島根チームの選手たちがごちそうになっていた。成績は32位。「ようやった。これまでの最高タイムや!」。やさしいねぎらいの声が聞こえた。
勝ち負けを超えた「ふるさと」のにおいとぬくもり。レースの感動とは別に、この大会ならではの魅力を感じた。
  
【写真=にぎわう「ふるさと屋台村」(西京極陸上競技場)】