納豆がない

わが家の朝の食卓から納豆が消えた。いや、他の家族はみなパン食だから、正確に言うと、わが朝食から納豆がなくなった。
7日に放送されたフジテレビ系の情報番組「発掘! あるある大事典Ⅱ」で納豆のダイエット効果が取り上げられ、全国的な品薄になっているという。実際、先週末に近くのスーパーをのぞいたら、商品棚から納豆だけがきれいになくなっていた。
「番組の翌日から急に売れ始めました。毎朝、棚いっぱいに置くんですが、ちょっと離れている間にもう空っぽ」と店員さんもあきれ顔だった。ポツンと棚に立てられた「おわび」によると、放送以来、通常の3倍以上の売れ行きが続いているそうだ。
この手の番組で「○○が▲▲に良い」などと放送されると、商品の人気が急上昇するとはよく耳にする。しかし、緑茶の時もバナナの時もこれほどのことはなかった。納豆が取り上げられるのも初めてではない。あらためて「ダイエット」への関心の強さを見せつけた格好だ。
特別に納豆が好きなわけではないので、朝食になくても一向に困らない。しかし、ひとつの情報で一斉に踊らされがちなわが国民性が気にかかる。少し意味合いは異なるが、今回の騒ぎで、30年ほど昔に起きた石油ショックによるトイレットペーパー買い占め騒動を思い出した。
納豆に含まれる大豆イソフラボンは、健康効果がある半面、過剰摂取によるホルモン障害や発がん性が疑われているともいわれる。何事も「過ぎたるは及ばざるがごとし」だ。
 
【写真=空っぽになった納豆売り場(左)と「おわび」(京都市北区のスーパー)】