蛸虎「たこ焼き」

たこ焼きとの付き合いは長い。小学生のころ、友だちの家がたこ焼き屋を始めたので、毎日通った。
母から1日10円もらい、5円は野球チームの用具をそろえるために貯金。残り5円でたこ焼きを買った。5円で3個、10円で6個あった。1960年前後のことだ。
おばちゃんが千枚通しひとつで器用に焼き上げていくのを眺めていると、時々「やってみるか」と焼かせてくれた。だから、今でもたこ焼きの腕前には自信がある。こんな「原体験」から長らくこの店の焼き方、具、ソースが、わがたこ焼きの基準になっていた。
それを何年か前に覆したのが「蛸虎(たことら)」だった。本店は一乗寺らしく、京都市内に何軒かの出店がある。よく行くのは、北野天満宮上京区)に近い店だ=写真右=。
まず普通よりひと回り大きい。自慢は、カリカリに焼かれた外側と、とろけそうな中身の取り合わせ。口の中で焦げ目ととろみが一体となり、絶妙の味わいだ。タコも大きめ。青のりは少ないが、自家製ソースとカツオがダイナミックにかかる=写真左=。
何度か自宅で「外カリカリ、内とろり」を試みたが、こうはいかない。時間をかけて焼き上げるのがコツと聞いたが、きっと他にも「企業秘密」があるのだろう。
9個600円。時間帯によって長い行列ができる。この日も優に20分は待たされた。
 
★★★★★(行列の価値あり)