尾張屋「上天ぷらそば」

百聞は一見にしかず。東京・浅草「尾張屋」の名物「上天ぷらそば」(1800円)は、写真の通り迫力満点。2本のでっかいエビ天が、どんぶり鉢からはみ出している。
雷門の西約100m。創業は1870(明治3)年。「浅草寺御用」をつとめ、浅草の街とともに歩んできたそば屋のしにせだ。
自慢の天ぷらは、独自のゴマ油で揚げているそうだ。コロモはカリッと、というより厚手でどっしりとした質感がある。「天ぷら」という言葉は、よく「テンプラ学生」などと「中身のないもの」「まやかし」のたとえに使われるが、ここのエビ天は正真正銘、端から端まで車エビ。
カツオのきいただしつゆが、厚手のコロモによくしみ込んで、互いにうまみを増している。そばは妙高高原産の粉を使った細切りで、甘辛い汁とのバランスがよい。
「ざる」や「もり」を好むそば通の中には、こうした温かい「種もの」を一段低く見る向きがある。そうした手合いにぜひ食べさせたい一品だ。
 
 ★★★★★(巨大エビ天に感動)