「産む機械」発言

柳沢伯夫厚労相の「産む機械」発言が波紋を広げている。政界通によると、政策に明るく、まじめな人柄だが、軽いところがあるといわれ、それが出てしまったようだ。
奥さんや2人の娘さんからもしかられたそうだが、公の席で一度口から出た言葉は戻らない。先に政治資金問題で角田義一参院議員が副議長を辞任した民主党は「今度は自民の番だ」と意気込んでいると聞く。
ここぞとばかりの「やめろ」コールに、本人は「今の仕事をしっかりやることで国民に信頼されるよう頑張って行きたい」と言うばかり。安倍首相も閣僚懇談会で柳沢氏に異例の注意はしたものの、いまのところそれ以上の措置をとる考えは示していない。
失言とはいえ、ふだん思っているからこそで口が滑ったのだろう。少子化対策を重要課題のひとつに抱える担当大臣としての適格性が疑われるのはやむを得まい。
問題は、この失言をめぐって国会が空転していることだ。補正予算案は野党欠席のまま衆院を通過したが、政治資金、教育再生格差是正など論議すべき課題は山積している。
与党内にも4日の愛知県知事選、北九州市長選の結果次第で辞任論が高まる空気があるという。大臣発言の「けじめ」を、選挙結果を待たなければつけられないというのもおかしな理屈だ。与野党ともに「政治決戦」と位置づける年のスタートにしては、お粗末すぎないか。