多機能ケータイ

自宅の机の上に小さな手提げ袋が置きっぱなしになっている。去年の11月に買い換えた携帯電話の入っていたドコモの紙袋だ。中には保証書や各種アプリケーション、オプション機能の案内書などが封も切らずに入っている。
新しい機種に乗り換えたのはいいが、movaからfomaに、しかもメーカーをPからNに換えたものだから、使い勝手が全く違う。分厚い取扱説明書を繰っても、かゆい所に手が届かない。使いこなせる能力もないのに、すぐ新しいものを欲しがる悪い癖。しまった…。
新機種を手に嘆いていたら「だれでも買い換えた時、やめといたらよかった、って一度は必ず後悔するんですよね」と職場の若手社員がやさしく慰めてくれた。買った袋のまま一式を保管していたのは、携帯ショップへ「もう、やーめた」といつでも返しに行けるように、との思いからだった。
あれから3カ月。ボタンの位置やカメラ操作にもようやく慣れた。念のため、前の電話機もまだ手元に残しているが、どうやら再登板させずにすみそうだ。勝手なもので、こうなると袋の書類や旧機種はごみでしかない。
それでもおサイフ決済、GPSナビ、テレビ電話…盛りだくさんの「高機能」は手つかずのまま。3カ月も使わなくて不自由ないものは、もとより不要だったのかもしれない。